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石欄斜点筆
石欄(せきらん)斜めに筆を点ず(杜甫)
石造りの建物は欄干も石である。日本の社寺は木造なので木の欄干に宝珠がついているイメージになる。紫禁城を訪れて我々がびっくりするのは、階段、欄干のおびただしい石の彫刻であろう。
石欄を遠くから見ると斜めに点々と筆跡をつけたように見える、と書の国の詩人らしい観察をしている。古人は筆を手に詩想を練ったのである。今日の詩人はワープロなのでこうは行かない。
そういわれて、確かに習字では点は斜めに打っていることに気付く。まっすぐタテに点を打つことはほとんどない。斜め45度が定位置だといえる。欄干が斜めに造られるはずはないから、これは光線の加減でそう見えたのであろう。
板は木曽のヒノキである。「キソヒ」と愛称される。年度課題として皆でキソヒに挑んだときのもので、「天然木」の焼印のある上物だった。
この硬質な隷書の線は作者・松溪独自のもので、日下部鳴鶴の隷書の延長線上にある。大成させたら書道史に残るレベルだと思う。
作者 齋藤松溪
隷書 書刻 ヒノキ板 彫込 峰彫 21×50
出典 杜甫
制作 2003
番号 会00048
作者 : 4.会員
掲載 : 2009/06/27