(26)銀座久兵衛 ≪児玉希望≫  - 文字看板めぐり

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(26)銀座久兵衛 ≪児玉希望≫ 

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 皆さんご存知の高級寿司店「久兵衛」のこの看板は、店の奥の入り口にあります。板はお寿司屋さんらしく檜でしょう。少し中央をふくらませたカマボコ彫りですが、胡粉を用いて上品に彫り込んであり、いわゆる看板屋のノッペリしたカマボコ彫りではありません。

 落款には「希望書」とあり、確かめたところ日本画家の児玉希望(1898~1971)の書だそうです。すでに物故作家になりましたが、師は川合玉堂、古典的な風景画をはじめ、多彩な作品を残したことで知られています。日本画家の書は川端龍子をはじめ、栗田嵐嶽などいくつかこの欄でも紹介しましたが、書家のマットウな字と比べて、面白味のあるものが多く、さすが筆を使い慣れている人の筆致だなあと感心するところがあります。この「久」の字の左ハライを三角にハネたあたり、我々にはちょっと考え付かない形です。

 入口には「久兵夷」と書いたロゴもあり、別館にはその看板もあります。なぜ「夷」としたのか、よくわかりません。キュウベエと読まれることを恐れて「夷」としたのでしょうか。変体仮名の「い」に「夷」の文字はありませんから、「夷敵」の「夷」を敢えて使った意味が私には不明です。しかもこの崩しは最後の筆が怪しいので、本当に「夷」なのか疑問です。

 これに比べると児玉希望の書は「衛」を正しく書いており、本店正門に掲げて大きからず小さからずほどよく収まっています。お寿司の味については申すまでもないでしょう。

■銀座久兵衛本店
〒104-0061 中央区銀座8-7-6 ℡03-3571-6523 

掲載日時 2009 年 11 月 27 日 - PM 03 : 59

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