(52) あなご料理「日本橋 玉ゐ」
京橋のあなご料理店の看板です。大きなケヤキの一枚板に「日本橋 玉ゐ」と、左書きで今風の配字。カマボコ彫りで文字に黒漆が入っています。板を支える足ごしらえもなかなかのものです。板が枯れてきたので、「日本橋」の三文字がボケています。これほどの厚みのケヤキなら、軽くヤスリをあてるだけで見違えるほどよみがえります。下の方のカビがこれ以上広がらないよう、板表面につや消しウレタンを塗って保護なさるとよいと思います。残念ながらできた当時のことを知る人がなく、書者は誰か分りません。看板屋に「おまかせ」だったのでしょう。
建物(写真右)は看板に見合った木造で、それもそのはず、酒屋だった建物を昭和28年に移築したものです。日本橋には日本橋にふさわしい店構えを、という店主の意地が感ぜられます。
あなごは江戸湾ではよく獲れたらしく、江戸前の粋な料理でした。今は天然あなごを三月から瀬戸内、五月から江戸、九月から仙台、十月から対馬、のように日本近海を巡ってより優れたものを使用しているとのこと。名物「箱めし」は「煮上げ」と「焼き上げ」の二種類の仕上がりを楽しむことができます。
■日本橋 玉ゐ
〒103-0027 東京都中央区日本橋2-9-9 ☎03-3272-3227
日本橋高島屋の一本裏通りを永代通りに向かって100メートルほど行った右手角にある。平日と土日祝日とは時間帯が異なるので、あらかじめ電話予約が望ましい。
掲載日時 2015 年 11 月 25 日 - 午後 05 : 09
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