(57)酒蔵「秩父錦」 - 文字看板めぐり

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(57)酒蔵「秩父錦」

 
 

 これは不思議な看板です。板に白く書いたように見えますが、よく見ると下辺は地をえぐるように丸く浚っており、木目かと思いきや、わざわざこんな模様に彫っているらしく、上部には筋を施しています。
 店構えが旧家だけによく看板とマッチしており、多くの人が銀座記念にカメラを向けているようです。雰囲気のある酒場としては銀座随一でしょう。

 酒屋や飲み屋にはこのように店名や屋号ではなく酒の銘柄を看板にしていることがよくあります。有名なものは「菊正宗」で
 右は秋葉原の酒蔵ですが、かつては至る所でこの看板を見かけたものです。これは中林梧竹の書で「七十七翁」と印があります。思うに酒のメーカーはこの看板を大量に彫らせ、あちこちの店に配ったものでしょう。これは新しい商戦の開拓的な事業でした。品川のネオン看板の高村社長が集めた看板博物館には「ヱビスビール」「アサヒビール」「キリンビール」「日本盛(中村不折書)」などの酒屋の広告看板が目につきます。この木挽町の看板もこの伝統にのっとって秩父の銘酒を前面に打ち出したものでしょう。

■酒蔵「秩父錦」
中央区銀座2-13-14 ☎03-3541-4777
酒蔵秩父錦直営の居酒屋。ここは木挽町といわれた地域。毎年夏にここの前でフラダンスの大会が開かれ、その楽屋として店舗を解放していることでも有名。

掲載日時 2016 年 07 月 12 日 - 午後 02 : 50

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