(54) 美術書絵画「閑々堂」
銀座1丁目の「美術書店」です。二枚の板を上下に並べています。字は習った人のものではないが、「絵画」を「繪畫」と旧字にしたあたり硬骨漢のしわざかと。
彫りはこの写真ではちょっとわかりません。丸刀で字面を丹念に浚っています。したがって彫りは浅く、素人っぽいところがあります。板も薄っぺらい桂で、上と下に分れています。
しかし下手な字かというとそうでもない。「堂」の五画目のカマエの右はちょっと変ですが、全体として悪くはありません。
書道では「閑閑」と同じ字を繰り返さずに「閑 ﹦」と下に「小二点 ﹦」をつけます。「々」とするのは活字だけです。そうなったのは恐らく「﹦」が漢文の一二点と混同しないための工夫でしょう。書は活字本ができるはるか以前からありますから、書家なら「々」とは書きません。「々」は記号で漢字ではなく、読みもありません。パソコンでは「同じ」と打つと出ます。なお「かな書」では「泣きつゝ」「いかゞ」のようにやはり同字の繰り返しを避け、どちらも小点をちょんと打つだけです。かな書に濁点はつけないので「ゞ」と書くことはありません。
硬骨漢ならそこまで徹底してほしかったと思うのはまあ私くらいのものでしょう。これでも立派に通用します。
■閑々堂 中央区銀座1-22-12 ☎03-3567-8101
掲載日時 2016 年 04 月 30 日 - 午後 03 : 54
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