(23)銀座・若松 小粋な小品 ≪青邨≫
小さな木彫りの表札がウインドウの隅 
っこにあります。白い花が飾ってあるために落款がよく見えません。どうも「青邨」と読めるので、もしや日本画家の前田青邨の字か、と思って店の方に尋ねたら、残念、同名別人ということでした。
あんみつや、お汁粉を食べる店の中でこの「若松」は、私の子供の頃から五丁目の横丁を入った路地にあり、ビルになった今でも「横丁らしさ」を残していてなつかしい気がします。80を越えた私の母などは銀座へ出たときには必ずといってよいほど、帰る前にここの「粟ぜんざい」をいただきます。「今日の銀ブラはこれにて終了」という自分なりの意味があるようです。一人で出たときも同じです。
さて看板らしい扱いを受けていないこの小品ですが、地の浚いの彫り目が面白く、ここに取り上げました。丸刀でスカッと浚っています。よく見ると、筆のかすれの細い筋まで、忠実に彫り込んであり、板は桂のようです。直線的な字がこの浚いと相俟って、かけあいの呼吸よろしく、地味な色ながら金箔を押して「小粋」に仕上がっています。玄関に掲げたら好いのに、と思わずにはいられません。
補記 最近この字が、大きな杉板に切りこんだ看板になったことを知りました。結構、結構。(2009/12/4)
■ 銀座若松 中央区銀座5-8-20 ℡ 03-3571-1672
掲載日時 2009 年 04 月 05 日 - PM 05 : 36
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