(さん)きじろう・ しゅうこうし・じいん
「散騎侍郎(さんきじろう)」は官名で、作者の肩書きである。古くは騎馬して王に近従するという要職であった。この時代は門下省に属して文案作成にあたった。
「周興嗣(しゅうこうし)」は序文に述べたとおり、千字文の文章を作った作者の名前。
「次韻(じいん)」は韻を踏んで文を草した、という意味。「韻(いん)を次(つい)ず」と読む。
以上が「表題」に相当するものである。本文はこのあとから始まる。
【字形説明】
騎 馬の下のテンが三つである。四つがふつうだが、うるさいときには三つでも、一棒でもよい。
周 土のアタマを上に突き出し、下も突き抜けて口に届く。これは篆書字形《※》をふまえたもので、このほうが古形をしのばせる。無理にしなくともよい。
興 真ん中は「同」とすべきだが、それだとスキマが狭いのでコ形ですませる。書道ではこの形が一般的。楷書の場合このように略形を使うことがよくある。
韻 ツクリの「員」は、前頁の員外の「員」とは違って、「ム」形にしている。口をムに書く字形は古くから併用されてきたので、古典を学習した人にとってはナジミのあるものだが、初めて知ったと思う方もあるだろう。バリエーションの一つとして覚えておきたい。
「騎侍郎・周興嗣・次韻」の印刷用画面はコチラ
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