26 景行維賢 克念作聖

26 景行維賢 克念作聖

     けいこう いけん   こくねん さくせい

 立派な行いはすなわち賢というべきである。よく念(おも)えば聖となる。

 「景行」は立派な行い。
 「維」は「これ」と読み、次の単語を指示して強調する。日本国憲法に「戦争はこれを」という言い回しがあるが、「戦争ハ維レ」という漢文調が入ったのであろう。「克念」はよく思うこと。「能(よ)く」とか「勝(すぐ)れて」の意味だと『説文』にある。「景行」と「克念」で「よく行い、よく考える」という対句をなしている。「賢人」も「聖人」もこのような特性を持っている。見習いなさい、というのである。

 ここから韻が変わり仄韻(そくいん)となるので、26から40までを第二段とする。第一弾は「平韻」であった。平仄(ひょうそく)については他の解説書を参照していただきたい。

【字形説明】
 京の中の口を日に書くことも一般的であったが、『干禄』で「口」に変えた。
 字形は上部が取っ手、下部が刃を表し、木を刳り抜く道具であるらしい。『説文』では「かぶとをかぶった人が重い荷物をかつぐ様」とあるが、白川氏は「そのいうところが明らかでない」と否定している。意味は字形を反映せず、早くから「能(よい)」の意味に転化したものらしい。「剋」はリットウ(刀)がついた形で、克と同義である。「剋念」とする本も多い。智永はこのリットウの部分を「寸」と書いているが、剋の異体字である。
 現行の活字は中央部を「ラ」とするが、『初唐形』では「二」である。

「26 景行維賢 克念作聖」の印刷用画面はコチラ

この見本文字を利用したら、右記リンク先から写真をお送りください。 - 青溪会への通知