50 守眞志満 逐物意移

50 守眞志満 逐物意移

      しゅしん しまん  ちくぶつ いい

 眞を守れば志は満たされる。物を逐(お)えば意(こころ)は移る。

 「眞」は荘子の云う「本性の眞」つまり自然にそなわっている本性のことであろう。そのような純粋な心を持った人を「眞人」という。道家の理想像である。

「志」は次の「意」と同じ意味で「満ち足りた心」というほどの意味。「こころざしを果たす」という俗解は合わない。

「守眞」の逆は「逐物」で、物に振り回されることであろう。物のコマーシャルに振り回されて、精神不安定な時代を我々は経験した。ようやく物余りの時代になり、日本人も物を選ぶようになってきた。物は美人のことだという解釈もあるが、それは誰もが言いそうなことで、とりたてて註するほどのことでもあるまい。

【字形説明】
 三段階の変遷を踏んだ字。『干禄』で「真」、『五経』で上の十を「ヒ」とし、『康煕字典』で「眞」として篆書形を完成させた。まさに楷書史の逆を歩んだわけで、「眞」は最も新しく作られた楷書。伝統的には今の略活字のように「真」とするのが正しい。このように、回りまわって今の略字が初唐形に戻る例はけっこう多い。「眞」は古めかしく見えるが、楷書としての美しさはなく、結局は淘汰される字形だったのであろう。『五経』では「慎、顛」のたぐいはみなこれに従えと云っている。(左下図)
 ツクリの中は『康煕字典』以来「入入」形となっているが、『干禄』では「人人」形。「兩」も「人人」である。从(ならぶ、従う)の意味で「人」形が伝統形である。
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