ちか ひっかい とくのう ばくぼう
(次は日常の行いについて)過ちを知れば必ず改めよう。技能を習得したら忘れないようにしよう。
「能」を「持って生まれた才能」とし、「忘」を「失」と読み替えて、「おのが持てる才能を失わず」とする解釈もあるが、持って生まれた才能に気付いて、それを伸ばせるのは万人に一人である。前の「過ちを知れば」という平易なくだりと合わない。
誰でも間違いはある。わかったら必ず改めよう、というのは庶民的である。持って生まれた才能がない庶民は、何らかの技能を修得して生きるのである。でも忘れちゃ何にもならない。ここはそんなわかりやすい日常を語っているのだろう。
「莫」は「なかれ」と読む。否定をあらわす用字。
【字形説明】
知 1,2画は続けて行書風にしている。
過 右上の四角のなかは「人」形だが、篆書形に近い「「」形もある。
必 書き順は二通りある。「こ」のように書いてタスキがけする書き順と、「ソ」を先に書いて「乚」のあと点々の書き順とある。草書ではもっと違う書き方もあるがここではふれない。
能 初唐までに別の字形に定着していたが(下図参照)、『干禄』で上記のようなツクリを「ヒ」ふたつ形に直した。美しくリファインされたものを「ヒヒ」という不恰好な字形にしてしまったのである。
忘 活字は「亡」となっているが、表記のようにタテ画を上に突き出すのが篆書字形に近い。(1)の「天地玄黄 宇宙洪荒」の「荒」も同じ。「匚」はハコガマエといい、「匸」はカクシガマエという。カクシガマエのタテ画を突き出す形は明朝活字にはないらしい。
「22 知過必改 得能莫忘」の印刷用画面はコチラ
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