かひ そうもく らいきゅう ばんぽう
(聖人の)感化は草木をも被(おお)い、その信頼は萬民にまで及ぶ。
ここも対句になっていて「被」と「及」は同じ意味である。「草木にまで及ぶ」としてよいところだが、同じ字を使わないルールがあるので「おおう」(被)を用いた。
「化」は感化、徳化であろう。「頼」は信頼、国家の信用度である。トップの言葉がブレていては治まりようがないことは子供にもわかる。
「萬方」は萬民の意味で方角のことではない、と注記する本もあるが、それは「萬方(すべての方向)」という意味からほぼ自動的に派生する内容なのであって、「方」は「民」の意、と記すのは間違っている。方に民の意味があるのではない。
【字形説明】
被 コロモヘンをこのように書くのは、ツクリの「皮」との調和をはかったからで、衣の3画目を中央に寄せただけである。
草 クサカンムリをこのように書くのは、左どなりの「萬」のアタマと同形になるのを避けたのである。
頼 ツクリはこれが正しい。しかし略して「頁」と書くことも隷書時代から行われてきた。『干禄』では「頼」は「通」としている。