42 上和下睦 夫唱婦隨

42 上和下睦 夫唱婦隨

     じょうわ かぼく   ふしょう ふずい

 上の者がなごめば、下の者が睦む。夫が言えば妻は随う。

 いわゆる「夫唱婦随」である。上は身分の高い為政者であっても、年長の人であってもよい。

 ある解説書にはわざわざ「上がやわらげば下は睦むということでなく、上下が和睦するという意である。」と記している。『孝経』に和睦とあるのによったからだというのだが、これはおかしい。もしそうなら、作者・興嗣は「上下和睦」としたであろう。語順を勝手に変えて読むなどありえない。「天地玄黄」をわざわざ「天玄地黄」と読んだりするのと同じで、悪しき伝統である。

 ここはあまり説明することがない。



【字形説明】
 昌を『説文』は日(にち)と曰(えつ)の会意字だとするが、白川説では日(にち)ふたつである。日は太陽や星を表す。二つの星が合わさって「明るい」の意味になる。三つになれば(晶)もっと明るい。曰(えつ)との合字では意味が説明しにくい。表記の天溪の書は下の日の左上を空けている。恐らく曰(えつ)を意識したものだろう。ここを空けるか閉じるかで上の日(にち)と下の曰(えつ)とを区別したものと思われる。白川説に従えばここは空けるべきではない。
 ツクリの「ヨ」の中棒を右に突き出す形を『干禄』は正とする。しかしこれは楷書の伝統ではとうの昔に「ヨ」として定着しており、篆書がえりする必要のないものである。(31)の事のところでもすでに注記しておいた。
 現行の活字は「左」をはずして「随」と略している。

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