12 推位譲国 有虞陶唐

12 推位譲国 有虞陶唐

     すいい じょうこく    ゆうぐ とうとう

 (次の時代の理想の名君・)尭(ぎょう)は舜(しゅん)に王位を推挙し、舜は禹(う)に国を譲った。
尭は初め陶に、後に唐に封ぜられたので陶唐氏といわれる。
70年王位にあったのち、舜に譲った。舜は虞に封ぜられたので有虞氏と号し、50年治めて禹に位を譲った。


 三皇五帝のあと孔子が憧れてやまなかった理想の国家、尭・舜・禹の時代になる。国譲りという奥ゆかしい政権交代が実現していた。政権にしがみついて選挙さえできないどこぞの総理とは違う。(「執位歴代 安倍麻生」で韻が合う)

 尭(陶唐氏)が先で舜(有虞氏)が後なのだが、韻を合わせるために有虞氏を先にした。
 この程度のズレは問題にならないほど、この名君は有名で古来中国の王の模範であった。

【字形説明】
 フルトリはこのようにも書く。篆書字形を彷彿させる。《※》
 ゴンベンはこんな異体もある。ツクリの上部は旧字では口二つ書くが、ム二つにして変化を与えたのである。
 旧字は中が「或」である。口と戈(か)との合体で、武装した城域を表す。中に「玉」を入れるのは後世の略字である。
 上部の虎を表記のように書くのは旧字形。唐の『干禄字書』で篆書に近づけた形が今日の活字に受け継がれている。《※》
 表記の字形は篆書字形に近い旧字である。書道では「ヨ」の右を出さず、タテ画も下に突き抜けない形《※》がむしろ普通である。申し遅れたが、天溪は高田忠周(既出 9海醎河淡の頁)の影響を多分に受けている。くわしくは私の『天溪楷書の世界』の解説をお読みいただきたい。

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