34 似蘭斯馨 如松之盛

34 似蘭斯馨 如松之盛

     じらん しけい    じょしょう しせい

 (立派な人物のイメージは)蘭のように香り高く、松のように生き生きとしている。

 すでに何度ものべたように、「似」と「如」は同じ意味に使われている。同じ字を使わないという原則があるので変えただけである。前句につなげて「忠孝の道に励む者は」とする本もあるが、すでに人倫についてさまざまな角度から述べているので、あえて「忠孝」にしないでもよかろう。

 蘭は古くは「フジバカマ」を指したらしい。香草の代表である。松は「千年の翠」とたたえられ、いつまでも盛んであることの代表である。

 「斯」「之」、ともに助字で、語調を整えたのである。


【字形説明】
 門の中は「東(とう)」ではなく「柬(かん)」とする。門の中に「柬」を過不足なく納めるために、柬の一画目を短くとっていることに注目したい。
 「声」の下部は古くは「尸(し)」であった。『干禄』で篆書に近づけたのである。28の「聲」のところにも記した。
 女と口の合字だが、女は女巫(じょふ)、口は「くち」ではなく「さい」(祭器)である。巫女が祝祷の器を前に祈る形である。『説文』は「女が従順であること」とする。口令に従うからだというが、この字形説明は説得力がない。
 「公」の第一画をこのように下から右上にハネ上げても、「ハ」のように左下にハラっても同じ。楷書筆法のバリエーションとして多用されるので覚えておきたい。
 皿の上は「丁」と書いているが、篆書字形にもとづいたもの。隷書でもこのように書く。楷書字形としては「成」のようにするのが一般的だが、ここではちょっと隷書風に古形に書いたのである。このような扱いを「隷意を加える」という。

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