かちん りだい さいちょう かいきょう
(植物も自然の恵みである。)果物では李(すもも)と柰(からなし)を珍重し、野菜では芥(からし)と薑(はじかみ)を珍重する。
スモモは分かるが「柰(からなし)」はどんな果物なのか私は知らない。西域の産でリンゴに似てリンゴより小さいという。
カラシは分かるが、薑(はじかみ)はショウガの古名だという。和名で「はじかみ」といわれる植物には「サンショウ」もあるが、こちらは「椒」の字で表されるから、ここは生姜でよい。
「珍重」という熟語は訳すには便利で、珍も重も「珍重」の意味で使っている。同じ字を使えない、という制約があって変えただけである。前句の「号称」「生出」も同様の用法である。
【字形説明】
菓 果とする本もある。どちらも果物の意。菓子はもともとは果物であった。後にスウィーツになって範囲が広がった。ここには四つのクサカンムリが出ている。このためにあえて「果」としなかったらしい。バリエーションを三つ覚えておこう。クサカンムリの書き順はタテ・ヨコ・ヨコ・タテである。
珍 「珎(ちん)」とも書く。《※》 ななめの三本をつける表記のような形は、『干禄字書(774年)』によるもので篆書字形《※》に忠実たらんとする唐王室の字形改革の所産である。自然発生史としての楷書は(唐代初期までは)「珎」がむしろ普通で、行草書もこれを踏襲している。
李 上の「木」は収筆をトメることが多い。もちろん右ハライでもよい。ここは上下に右ハライの字があるので重複を嫌ったのである。
芥 楷書ではほとんどこの形を書き、活字のようには書かない。
薑 このクサカンムリを知らない人があるかもしれない。古典にはよく出る形である。
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