7 剣號巨闕 珠称夜光

7 剣號巨闕 珠称夜光

    けんごう きょけつ   しゅしょう やこう

その金で飾られた剣は「巨闕」の名で知られる名剣。その珠の名品は「夜光」と称せられた。

 いにしえの越王は五ふりの宝剣を持っていた。その最高品を「巨闕(きょけつ)」と命名した。「号する」とは名をつけるの意味。前文をうけて剣の飾りの金であろう。
 また「夜光」と称せられた名玉はその名の通り夜も明るく光っていた。注釈には「玉は山で取れた石、珠は海で採れた石」と分類し、ここを真珠であるとか、竜王の化身の蛇がくれた珠(たま)だとかの昔話を披瀝するが、前文との関連を考慮すれば、この珠は崑崙山から採れた玉であるほうが自然である。同じ字を使えないので「珠」としたにすぎない。
 中国は歴史が古いので、さまざまな伝説があり、注釈者は衒学的に知識をひけらかして、オヒレをつけてしまう。分析的手法の弊害である。注釈本にあまり振り回されないようにしたい。

【字形説明】
 旧字はこのように書く。下の「テン」四つは「人」二つが正式。テンのほうが書きやすいので楷書ではこのように書く。右の「刃」は「リットウ(刂)」と同じで、どちらも可。《※》
 ツクリの「虎」は「乕」とも書く。どちらも可。《※》
 楷書では臣の上のツナギを外した形を書くことも多い。《※》『干禄字書』で表記のように直している。
 旧字形の楷書では門ガマエの中を「邦」のヘンと「服」のツクリを合わせた形に書くことも多い。《※》 これは『干禄字書』によって表記のように正された。
 旧字はこのように書く。


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