59 右通廣内 左達承明

59 右通廣内 左達承明

     ゆうつう こうだい  さたつ しょうめい

 (宮殿の内部に入ると)右に行けば廣内殿に通じ、左に行けば承明殿に達する。

 宮殿の中にもおびただしい建物があり、それぞれに名前がついている。廣内殿は図書館になっている。承明殿は未央宮内にあって、著述をするところだという。
 「通」も「達」も同じ意味(=行き着く、至る)に使われていて、千字文のルールによって、同じ字を使えないので変えているのである。

 なお天子は南面するから、天子の右側が西、左側が東になる。これら宮殿のモデルは漢宮にならっている。後世の宮殿が同じ名前をつけることがあったり、なかったりするので、常にこの名称が存在するとは限らない。


【字形説明】
 『干禄』ではシンニュウはすべて「点ひとつ」で統一している。『康煕字典』が二つ点にした。ここは隣りに「達」がくるので、変化させたのである。隷書には二点シンニュウが多いので、それを応用したのだが、楷書としては初唐形、干禄で一点が定着した。
 『干禄』の序には表記天溪書と同じに書かれている。ところが『康煕字典」で「廣」と横に一本増やした形に直した。そこで我が国では「廣」を正字とすることになっているが、これは『康煕字典』の勝手な改変であり、伝統的に存在しなかった形である。このパソコンも表題のように「廣」しか出ない。黄色の「黄」はそのままで、マダレがつくと一本増えるというオカシナことになっている。癀嚝瀇鑛彍壙などなどすべてこの弊害にあっている。
 『干禄』では目ヘンに月でなく「囧(けい)」とする。「まどヘン」である。しかし初唐形は目へん。現今の活字は「日ヘン」。書道の楷書は目ヘンが正しい。「まどヘン」は『干禄』が正としたにもかかわらず、一般的なコンセンサスを得られず、その後使われなくなってしまった。あまりに強引な「篆書帰り」だったためであろう。

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