57 肆筵設席 鼓瑟吹笙

57 肆筵設席 鼓瑟吹笙

      しえん せつせき  こしつ すいせい

 筵(むしろ)を敷いて席をしつらえ、鼓や瑟を奏し、笙(せい)を吹く。

 天子の殿舎の中では儀式が行われる。
 肆(し)は「敷く」という意味。筵(むしろ)は竹で編んだ敷物である。儀式の聖なる座席をしつらえるのである。天子が諸侯と謁見するとき、座席は東西九筵。南北七筵などといわれていた。

 儀礼には礼楽がつきものである。楽器は鼓や瑟(しつ=大型の琴)や笙(せい)である。笙は押韻して漢音では「せい」と読む。日本では「しょう・ひちりき」の「しょう」のこと。この他にも楽器はたくさんあるが、押韻に合わせねばならないから何でもよいというわけには行かない。



【字形説明】
 活字では竹カンムリだが書では「クサカンムリ」。これについてはすでに述べた。『干禄』では竹カンムリの楷書を新たに作ったが、それまでの伝統ではすべてクサカンムリであった。「延」の活字は「正」の第一筆目を左にハラウが、表記のように書くのが楷書である。もちろん「正」でもよい。エンニョウ(廴)はシンニュウ(辶)と互換性があって、シンニュウのほうが用例が多い。表記の天溪書のように両者の折衷形も便利だと見えてよく使われる。
 ツクリは「々」と「攵(ぼく)」の合字を『干禄』で俗とし、殳(しゅ)に統一した。これもすでに述べた。
 初唐形ではマダレ(广)の中を「帶」としていた。『干禄』でこれを俗とし、「席」と変えた。変えたおかげで、草書との整合性がなくなった。


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