活動報告&ニュースリリース

2009年1月の記事

岡村大 書作展 松本 >>> 2009/01/30

松本市で第2回目の個展を開きます。

日時 平成21年2月13日(金)~18日(水)
    10時から6時まで
場所 ギャラリーイマージュ 
    〒390-0874 松本市大手2-3-20 ℡0263-39-7733

 松本城のお膝もとであるこの地は、伝統文化の面影を随所に残している土地柄です。木曽の銘木の産地をひかえ、古くから木の文化の発信地でもありました。あわせて書の先達も多く輩出しており、書を愛好する人々も格段に多いようです。私のように、書いてそれを板に彫る仕事をする人間にとっては、このような土地の人々から多くを学べることも、ここでの個展の楽しみのひとつです。
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null ギャラリー・イマージュ 旧六九町
null 私の新作。
 さすがに2月の松本は暖冬とはいえ、かなりの寒さでした。「市民タイムズ」に紹介していただいたので、寒い中をおいでくださるかたがたがあり、ありがたく思いました。

 松本の街を歩くと、ここそこに木彫りの看板があります。木の文化のなごりを留めていて、私などは楽しくなります。一介の旅行者の歩いた範囲に過ぎませんが、気付いたものだけご覧に入れましょう。

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 【1】「開運堂」 有名なお菓子屋さんです。書は秋山白巌。松本では書道の大御所。多くの弟子を育成しました。東京の人ですが、晩年は松本に安住しました。明治から昭和にかけて活躍した人です。

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 【2】古書店「青翰堂」 松本城の手前にあります。城をかたどった面白い建物です。篆書は印判屋に依頼したもので、書家の書いたものではないようです。これは読みやすく小篆でまっとうに書いています。篆書を知らない人でも「なんとなく」わかるところがいいと思います。ただし書は正式に右から左に読まねばなりません。「青翰堂」の名は画家・滝山太郎さんがつけたもので、その書が店内に掲げられています。風格のあるよい字です。

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 【3】旅館「丸茂」 ナワテ通りの中ほどの橋をわたった角にあります。小さいけれど、総さらい、浮出し彫りで金箔押し、落款印が二つついた本格的な書作と言えます。文に曰く「丸茂」と解説つきですから誰でもわかります。上品な名板です。香雲居士とありますが、履歴は私にはわかりません。どなたかお教えください。

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 【4】蕎麦屋「弁天楼」 同じく香雲書で、ナワテ通りにある格調高い篆書。屋根のなかにひっこんでいて、ちょっと気付きませんが、天の字が歩く人のようで面白い。近年は書きなぐったような篆書ばやりですので、このようなきちんとした篆書を見ると清々しくなります。

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 【5】「楚者処(そばどころ)」 松本城前の通りの左手にある「たかぎ」という店。龍星作とあり、印に「茂」とありますから、本名しげるさん。雅号が龍星というかたの書とお見受けします。松本のかたならご存知かもしれません。

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 【6】「みよ田」 千歳橋に向かう大通りの左をちょいと入った露地にあり、地がたんねんに浚われています。酒の下の字が読めません。「そばきり みよ田」と店名があるので、酒にちなんだ文句なのでしょう。「○由々」は仮名なのか、よくわかりません。回りをレンガで囲ってよい雰囲気を出しています。

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 【7】「百竹亭」 松本城の裏手、松本神社のならびにある茶席で、ここでは有名な場所かと拝察しました。字は自己流のようですが、粋な書きっぷりです。和風というのは重ったるくては合わないので、このようなあっさりとした彫りで軽ろ味がマッチします。

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 【8】「清澤印舗」 六九町の印章店。松雪はご主人の号。篆書は本業とあって正調です。市内の印章店はだいたいがこの伝統を守っていて、レベルの高さを物語っています。ここの店の内部には「耕石舎印舗」の看板があって、師匠の店にあったものを大切に保存しているということでした。これもなかなか見ごたえがあり、必見です。

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 【9】「春華」 去年の6月に撮った写真ですが、このたび前を通ったら、「閉店」のお知らせが出ていてびっくりしました。店がなくなると看板も消滅するわけで、残念といえば残念です。看板の宿命でしょう。関防印「壽」が左上にあって左から右に「春華」と読む左書き。最近はこのスタイルも定着しつつあります。右の落款には「明穣意」(明は水?)とあり、人名らしくありません。字はいささか俗っぽく思われます。

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 【10】「あづみ野」 書いただけのように見えますが、よく見ると浅く彫ってあります。字はともかくとして、板に目が行きました。小さいホゾ穴が四角くあいていて、明らかに水車の輪を使っているからです。昔はこのような枯れた材が古物商の店先によく見られたのですが、最近では水車が姿を消し、舟板や水車板が高級材になってしまいました。淡水に浸かっていたので、アクが抜けて書刻には好材料です。せっかくの板もちょっと雑に書かれていて勿体無い感じですね。色も明るい緑青などを入れたらそれだけでも雰囲気が出、建物が民家風なだけに、いま少し配慮があったらと思います。

 以上、短い滞在中に見かけたものです。このほか医院の看板などにすぐれものがあったと記憶しますが、今回は撮れませんでした。次回来年には作者や刻者、読みなどを確かめて理解を深めたいと思っています。私のメール・アドレスは okamura@seikeikai.net ですので、情報をおよせくだされば書き直します。






 



2009年1月のコラム

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