会員の作品
93 百項風潭上
百項(ひゃくけい)風潭(ふうたん)の上(ほとり)
千章 夏木清し
卑枝低(た)れて子(み)を結び
接葉 暗くして鶯を巣(すくは)しむ(杜甫)
作者 野呂マリ子
隷書 書額 紙本濃墨
半切1/2
出典 杜甫「「陪鄭廣文遊何将
軍山林 十首の二」
制作 2012
番号 会00093
楷書、行書をしっかり学んだあと、隷書を勉強する。人にもよるが、違った筆法を経験することで楷書、行書の筆使いに良い変化があらわれる。とくに隷書や篆書は蔵鋒という起筆が大切で、これができないと隷書独特の波磔(はたく)ができない。楷書のハライと同じになってしまうからである。また楷書の左ハライは隷書では払わずにふみ留まる。これも難しい筆法で、なかなかマスターできないのだが、この作品の「夏」「接」などはよく書けている。このあと楷書に戻って再び稽古したとき、楷書の筆扱いに確信が生じる。それが楽しみである。なおこの作品は今年の第64回中央区書道展で区長賞に輝き、区長じきじきに賞状を授与された。
作者 : 4.会員
掲載 : 2012/12/25