
会員の作品
春眠不覚暁 処々聞啼鳥
春眠暁を覚えず 処々に啼鳥を聞く
夜来 風雨の声 花落ちること知る多少(孟浩然)
かなの書風で漢詩を書くことは少ないが、そこは「和漢朗詠」というよい見本があるので、かなの線を活かした作品をつくることができる。
漢字の線は筆をタメながら、「押し書き」するが、かなの筆法は逆に「引き書き」である。したがって筆のカエリ(反対方向に向かうこと)が重たくならない。どことなく清々しく、さわやかなのはそのためである。日本的な感性が追い求めた和風の漢字なのである。
孟浩然の有名な詩で、誰もが書くから訳は不要であろう。春のあけぼののウトウトした気分を余すところなく言い得て妙である。
作者 野呂純子(漢詩なので里溪の雅号を用いている)
かな 書額 半切1/2
出典 孟浩然「春暁(しゅんぎょう)」
制作 1998
番号 会00053
作者 : 4.会員
掲載 : 2009/12/02