会員の作品
わが宿の
わが宿の 菊の白露 今日(けふ)ごとに いく夜たまりて
淵となるらん(清原元輔)
作者 野呂純子
かな 書軸 紙本濃墨
37×133/26×68
出典 清原元輔
制作 2011
番号 会00085
この秋の「63回中央区書道展」の出品作。変体がなの「王」は「わ」と読む。また「遊」は「ゆ」、「遅」は「ち」である。やや青みがかった料紙で、裾のほうに砂子がまかれている。
歌意は秋の菊に置く露がたまりにたまって、とうとう淵となるほどだ、と言うから相当な量である。それほど私の涙がたまっているということらしい。誰に流す涙かは知る人ぞ知るである。作者はともかく、それほど思われている恋人はさぞご満悦の至りであろう。さては野呂さん、秋も深まってかつて袖にした殿方を思い起こしているのであろうか。それかあらぬか、展覧会の会期中に風邪で高熱を発してしまった。文字には言霊が乗り移ることもある。御身お大事に。
作者 : 4.会員
掲載 : 2011/11/03