
会員の作品
待望
同じく鈴木さんの作品。キリスト教の「信望愛」の望は「希望」だが、これは「よき福音(おとづれ)を待ち望む」こと。信者に限らず、すべての人にこの気持ちがある。小さな待望の積み重ねがその人の軌跡だろう。
板は珍しい「梨」である。果物のなる木は目的が違うので、建材つまり板材にはなりにくく店頭ではめったにお目にかからない。まっすぐ高く伸ばしては実を採るときに困るからであろう。これは庭の梨の木を伐った人が譲ってくれたもので、ご覧の通り風変わりな肌合いをしている。梨の実はザクザクしているが、板は逆にキメ細かく稠密というにふさわしい。昔は玄関の上がり框(かまち)に梨を使ったそうで、年月が経つと、出入りの人の足で磨き込まれてピカピカになると聞いた。
作者 鈴木世紀子
篆書 書刻 小額 梨板 彫込 34×17
制作 2003
番号 会00041
作者 : 4.会員
掲載 : 2009/05/02