2009年5月 会員の作品
桃李不言 下自成蹊
桃李 言(ものいは)ずとも
下自から蹊を成す(史記)
ケヤキの板にあざやかな赤。良い香、おいしい実。黙っていても人が集まり、木の下に路ができる。
行列ができているので末尾の人に「何の安売りですか?」と尋ねたら「さあ」と首をひねっている。群集心理でとりあえず並んでみたらしい。蹊を成すとはいえ「桃李」かどうか確かめてからにしろよ。
作者 小池千代子
篆書 書刻 楹聯 ケヤキ 彫込
出典 史記
制作 2004
番号 会00045
作者 : 4.会員
掲載 : 2009/05/30 上に戻る
頭上漫々 脚下漫々
頭上漫々 脚下漫々
鮮やかな緑箔を全面に押している。箔は金銀箔ばかりではないので画材屋さんで見せてもらうことを私は勧めている。これは小池さんが池の端の喜屋で買ったそうだが、私が別の店で聞いたところ、これと同じ色のものはなかった。店によって品が微妙に違っていたりするので面白い。
漫々はサンズイがつくので水のことばかりかと思っていたが、広くとりとめのないことにも用いられる。
ツクリは「冒(ぼう)」と「又」の合字。「冒」は「面衣」とある。顔にかかるベールであろう。下部の「又」は手の形だからベールを手で引っ張る、すると美しい目元が顕れる、という字形で、流し目のことらしい。
作者 小池千代子
隷書 書刻 扁額 朴板 15.5×79
制作 2004
番号 会00044
作者 : 4.会員
掲載 : 2009/05/24 上に戻る
相聴春声

相(とも)に春声を聴く
板は桜で彎曲している。自然の曲線なのでそれを生かし、文字枠を水平に配した。こうすると上下のゆるやかな曲線がいっそう引き締まって見える。「枠浮出し」と私は名づけている。
作者・小池さんは私が町田の「読売カルチャー」で教えていたときに入門し、もう10年以上になろうか。こんなことをしてみたい、と常々思っていて、偶然この教室を見つけた、と言っていた。そろそろ個展ができるくらいの数になっているので、数点まとめてご紹介しよう。
作者 小池千代子
隷書 書刻 桜板 枠浮出彫 文字銀砂子 78×26
出典 とくになし
制作 2003
番号 会00043
作者 : 4.会員
掲載 : 2009/05/10 上に戻る
延年益壽
えんねん えきじゅ
漢代の瓦当の字から採った。隷書の初期の素朴な形をしている。
初心者はこのように古典に範をとって彫りと着彩で楽しむ方法が、早く書刻に親しむ近道である。字形はもともとがよいのだから、出来上がってみると存外「サマになる」ものである。色は枠線に交互に二色を配するだけで、むづかしくない。あまり趣向をこらすと逆につまらなくなる。
板はちょっと奮発してヒノキを使った。このころ会員十人ほどがヒノキに挑戦していた。作者はベテランにまじって力闘して、配色を皆にほめられた。十人が出すコッパはかなりのもので、家に帰ってお風呂に入れます、と持って帰る人もあった。
作者 中田良子
隷書 書刻 楹額 ヒノキ板 浮出彫
金箔押 24×80
制作 2003
番号 会00042
作者 : 4.会員
掲載 : 2009/05/02 上に戻る
待望

同じく鈴木さんの作品。キリスト教の「信望愛」の望は「希望」だが、これは「よき福音(おとづれ)を待ち望む」こと。信者に限らず、すべての人にこの気持ちがある。小さな待望の積み重ねがその人の軌跡だろう。
板は珍しい「梨」である。果物のなる木は目的が違うので、建材つまり板材にはなりにくく店頭ではめったにお目にかからない。まっすぐ高く伸ばしては実を採るときに困るからであろう。これは庭の梨の木を伐った人が譲ってくれたもので、ご覧の通り風変わりな肌合いをしている。梨の実はザクザクしているが、板は逆にキメ細かく稠密というにふさわしい。昔は玄関の上がり框(かまち)に梨を使ったそうで、年月が経つと、出入りの人の足で磨き込まれてピカピカになると聞いた。
作者 鈴木世紀子
篆書 書刻 小額 梨板 彫込 34×17
制作 2003
番号 会00041
作者 : 4.会員
掲載 : 2009/05/02 上に戻る
