2008年11月 会員の作品
いみじう生ひさき見えて

いみじう生ひさき見えて美しげなる形なり
髪は扇を広げたるやうにゆらゆらとして
顔はいとあかくすりなして(源氏物語・若紫)
おなじみ「源氏物語」の若紫登場のくだり。
話は飛ぶが「アンナ・カレーニナ」などもアンナが登場すると、俄然物語が精彩を帯びてくる。だからこの大作を読むには「はじめの50ページを我慢せよ」と教えてくれた先輩がいた。「源氏」もこの若紫の登場で俄然面白くなる、と私は思っている。
かな 書軸茶掛 紙本濃墨 60×120
出典 源氏物語「若紫」
作者 長崎愛子
撮影 ストゥディオ・キャトル
番号 会00028
作者 : 4.会員
掲載 : 2008/11/28 上に戻る
にきたづに

にきたづ(熟田津)に 舟のりせむと 月待てば
潮もかなひぬ いまは漕ぎいでな(万葉・額田王)
有名な額田王(ぬかだのおおきみ)の歌。
作者は一貫して万葉集ひとすじ。カルチャーにも積極的に参加して、万葉集の研究を生きがいにしている。こうした腰のすわった書道は奥行きがあり、見習いたいものだ。
かな 書軸 紙本濃墨 50×120
出典 万葉集・額田王(巻1-8)
作者 吉川澄子
制作 1998
撮影 タカヒコ
番号 会00027
作者 : 4.会員
掲載 : 2008/11/13 上に戻る
人更ねて少き時無し 須らく惜しむべし
人更(かさ)ねて少(わか)き時無し
須らく惜しむべし(和漢朗詠・野)
「更」は「かさねて」と読み慣わしているが、「更に・・・なし」と打ち消しの語を伴って強めているとも読める。
また「更」は動詞の「経る」の意味もあり、「不更事」は「事をへず」(経験を積んでいない)の意味となる。「人更」を「人ふれば」と読んでみよう。
「ひとは歳をかさねれば、もう若いときはないのだ。須らく(今を)惜しむべし」となり、若者に言う言葉というよりは、年寄りへの、なかなか含蓄のある言葉となる。ただの強めの意味よりは面白い。「かさねて」という和漢朗詠の読みは、そういう気持ちをこめたものだろう。
行書 書額 紙本濃墨 36×94
出典 和漢朗詠集47(野は小野篁の通称)
作者 黒田 絢
制作 1998
撮影 タカヒコ
番号 会00026
作者 : 4.会員
掲載 : 2008/11/09 上に戻る
