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154 世載萬雲朝光来
世は萬雲を載せるも
朝光来たらん(臨・張遷碑)
❶隷書 ❷書刻
❸栗板 鉄漿染
❹枠浮出彫 錫箔押
❺21×92cm
❻臨「張遷碑」
❼作者 林 郁子
❽制作 2020年
❾番号 会154
世の中はいろいろな雲を推戴してもめているが、いずれは朝日がさすことを期待しよう。コロナ下の述懐。制作工程はコラム509~514に記載している。
❶ crelical script ❷ wood carving ❸ japanese chestnut board, Tannins dying
❹ letters relief in frame, coating tin foil ❺ 21×92cm ❻ (writing calligraphy with copying) Zhang qian bei ❼ Hayashi Ikuko ❽ 2020 ❾ No.M154
作者 : 4.会員
掲載 : 2020/10/27 上に戻る
153 遠臨南州路
遠臨南州路 行人深緑龢
遠く臨む南州の路
行人深緑に龢す(臨徐三庚「出師表」)
❶篆書
❷書刻
❸朴板 総浚
❹彫込 平彫 文字白
❺29×70cm
❻臨徐三庚「出師表」
❼作者 S
❽制作 2020
❾番号 会153
まず板の表面を軽く総浚いして石垣模様を作る。下塗り(濃赤)の上に黄色をかけ、下塗りを研ぎ出す。このあと字入れして文字を彫り込む。コラム506~507にも記載している。
「南州の路」は作者の故郷(北九州)。東京から思いを馳せると、そこを行く人影が深緑の色に融け込んでいる。コロナ禍でこのところ帰郷できない。
❶ oldest script ❷ wood carving ❸ japanese cucumber board, putting cut-pattern on surfice ❹ letters intaglio flat cut in white ❺ 29×70cm ❻ (writing calligraphy with copying) Xu san-geng: Chu-shi biao ❼ S ❽ 2020 ❾ No.M153
作者 : 4.会員
掲載 : 2020/10/27 上に戻る
152 泉聲欣然雨露恵
泉聲 欣然たり 雨露の恵み
❶書体:篆書
❷読み下し:泉聲 欣然たり 雨露の恵み
❸作者:中島好美(書幷刻)
❹作品形式:書刻・対聯
❺手法:栓板・蘇芳染 彫込・平彫 文字色・水晶沫
❻サイズ:12.5×62cm×2本
❼出典:呉大澂「李公廟碑」
❽制作年:2020
❾作品番号:会00152
呉大澂の「李公廟碑」を全臨したのち字形を拾って七言を作った。意味は「雨露のおかげで喜びに満ちた泉の音が聞こえる。」雨はないのも困るし降りすぎても困る。近年は豪雨の土砂崩れがあり温暖化のせいだという。泉聲欣然でありたい。
板は栓(せん)で木目がきれいな良材。板を半分に切って対聯(ついれん)に仕立てたので、右が上、左が下の一枚の板である。
蘇芳染をほどこした。媒染剤にミョウバンを使うと赤く発色する。(硫化第一鉄だと紫になる。)文字には水晶沫を入れた。胡粉だけよりも白が明るい。
❶oldest script of five letter-styles
❷literal interpretation: Joyful sound of spring is blessings of nature.
❸Yoshimi nakashima
❹work format: wood carving, a pair of hanging tablet
❺board: Kalophanax pictus・Suo(蘇芳) dyeing: Suo is legumes in Southeast Asia. Its decoction turns red by adding alum. Carve letters in intaglio, flat cut. letters color:crystal powder.
❻size: 12.5×62cm×2 tablets
❼based source:呉大澂(Wu Tai-cheng 1835~1902)李公廟碑(Li-kun miao pei)1895
❽2020
❾No.会00152
作者 : 4.会員
掲載 : 2020/02/08 上に戻る
151 松陰空雲
松陰空雲
松陰 空に雲(鄧完白)
篆書
作者 鹿島範子
書刻 浮出彫 赤松 金箔押
白緑研出 17×97
出典 鄧完白「白氏草堂記」
制作 2019 第71回中央区展
番号 会00151
はじめての書刻作。
鄧完白の「白氏草堂記」を臨書し、四字を彫った。
たったの四字であるが、松陰の緑、見上げる空の靑、白い雲と色彩のイメージを伴う。
木陰の涼しさ、空の爽やかさの感触もある。
地の総浚いのノミ跡はゴツゴツして荒々しく、文字の輪郭には少しヤスリをかけて滑らかにし、やさしさを対比させた。
用材の赤松は初心者にはどうかな、と思ったが、なかなかの良材だった。作者は私と同期生でノミなど叩いたこともない。ご婦人でも書刻作ができる見本である。どんどん挑戦してほしい。
作者 : 4.会員
掲載 : 2019/09/29 上に戻る
150 詩巻長留天地閒
詩巻長留天地閒
釣竿欲拂珊瑚樹
深山大澤龍陀遠
春寒野隂風景暮
詩巻 長く留まる 天地の閒
釣竿 拂わんと欲す 珊瑚の樹
深山 大沢 龍陀遠し
春寒 野隂 風景暮る(杜甫)
楷書
作者 林 郁子
書軸 100×34
出典 杜甫
制作 2018 第70回中央区展
連盟賞
番号 会00150
楷書は書道の基本。誰もがここから出発する。展覧会で楷書作品を見ることは少ない。映えないからである。誰にも読めて上手い下手が分る。労多くして効無しだ。そこで誰もが読めない草書が展覧会を埋め尽くす。展覧会というコンクールはそれゆえ書道本来の根幹を揺るがす危険性を持っている。展覧会映えしないからと言って楷書と真摯に向き合わないのはおかしい。
作者 : 4.会員
掲載 : 2019/09/29 上に戻る
149 上天之載無臭
上天之載無臭無聲随感變質應徳
効霊赫々明々雲氏龍官龜圖鳳紀日含
五色烏呈三趾筆無停史(臨 九成宮)
上天の載は臭無く声無し。感に随いて質を変じ徳に応じて霊を効す 赫々明々たり。 雲氏龍官 亀図鳳紀 日は五色を含み 烏は三趾を呈す。筆は史を停める無し。
楷書
作者 中島好美
書軸 130×34
臨書 欧陽詢 九成宮
制作 2018 第70回中央区展 区長賞
番号 会00149
欧陽詢「九成宮禮泉銘」の臨書。全臨に半年をかけ、好みのくだりを半切にまとめた。
ここは「上天」の本質を述べている。
天上のことには匂いも音もないが、聖人が世に出たことに感じて、その性質を変え、徳に応えて霊験があらわれる。
それははっきりとして盛んで明らかなものである。(昔からすぐれた治世には)雲氏、竜官、亀図、鳳紀をはじめ、日が五色の光を含み、三本足の烏があらわれるなど、瑞兆がある。(楽人はそのほめ歌をとめることなく)その記録の筆は史官の手をやすめることがない。
努力の甲斐あって「区長賞」に輝いた。
作者 : 4.会員
掲載 : 2019/09/29 上に戻る
148 樂酒飮 長久富
酒飲を楽しみ 長久に富える
隷書
作者 菊地裕一
書刻 朴板 薬研彫
古代箔押 23×52
出典 漢代の磚
制作 2019
番号 会00148
漢代の磚は粘土を焼成した建築材料で、床や壁面を飾るタイルのようなもの。古隷で書かれ、面白い字が多い。
古典を範として書刻作を作ることをまず学ぶ。自己流でやっているといずれ行き詰まる。
朴の板に薬研彫り、表面は古代箔を押した。写真では箔の色がよく見えないが、実際は微妙な色むらがあり、趣きがある。
薬研彫りという単純な文字彫り込みは光の当たり方によって表情を変えるのが見せ場である。この写真はやや上方からの光なので、もう少し左上方からのライテイングを試みたいところだ。
「富」が「とむ」では金持ちになるだけのようだから「さかえる」と読んだ。「ゆたかなり」でもよい。
作者 : 4.会員
掲載 : 2019/08/25 上に戻る
147 清風良事近
清風良事近 清風 良事近し篆書
作者 S嬢
書刻 橅板 浮出彫
金箔押 70×13
出典 呉譲之
制作 2019
番号 会00147
橅は「ブナ」である。稠密で堅く良材だが力が要る。地色は「渋柿色」をイメージした。
呉譲之の『呉譲之篆書冊(松丸東魚 白紅社 昭和33年)』を全臨した後、五字を選んで書刻にした。
箔アカシして気付いたことだが、最近の箔紙は油の乗りが悪い。昔の雁皮紙ならやすやすと箔がつくのに、この頃の箔紙は薄いティッシュで、何らかの薬品処理がほどこされているらしく箔がつかないのである。結局雁皮紙を箔のサイズに切って用をなした。
作者 : 4.会員
掲載 : 2019/08/25 上に戻る
146 壽萬年
壽 萬年(よわい ばんねん)
篆書
作者 中島好美 書刻 朴板 薬研彫 靑貝箔押 70×22
出典 漢磚 制作 2019 番号 会00146
薬研彫は単純な彫りだが奥が深く、書刻としては探究の余地がある面白い分野だ。
この彫りは書き順を反映させることができ、順・逆・平等と三種ある。これは優先順位なしの平等薬研である。交錯するところが見せ場になる。
地となる平面の処理もさまざまあって、これは箔押しでメタリックにした。青貝箔は自ずとムラがあり、同じものは一つもない。期せずして古びをおびてくれる。
文字は漢代の磚(敷き瓦。床面に敷き詰めるタイル。多くは素焼き。)から採った。装飾性の高い篆書で隷書への移行期のもの。
【Literal interpretation】Be a long life!(life-span of ten thousand years 壽萬年: Chinese set phrase)/作者(saku-shya): calligrapher and maker: 中島好美(Yosimi Nakajima) 篆書(ten-sho):oldest script of five letter-styles(五書体), this style is
used Han dynasty(漢代)/ 書刻(sho-koku): wood carving of calligraphy/ 朴板(boku board):magnolia/ 薬研彫(yagen-bori):
a way of engraving letters on a stone, in which each line is cut into V-shaped. Yagen(薬研) is a tool to grind medical herb, which is made up of two parts,sharp circular disk and receptacle dish of V-shaped. / 靑貝箔押(seibai-haku oshi): sealing coloured foil, looks like lustre of shell/ 出典(shyttenn): source: earthenware brik(磚 sen) / size:70×22cm/ 2019/
No.会00146/
作者 : 4.会員
掲載 : 2019/08/25 上に戻る
145 蘭發清香開浄想
蘭發清香開浄想 蘭 清香を發し 浄想を開く(呉譲之)
篆書
作者 山口由貴
書額 紙本濃墨 全懐紙
出典 呉譲之篆書册
制作 2019
番号 会00145
蘭が見事な花を咲かせ、芳香を放つ。それにつられて浄らかな想いが沸き起こる。
呉譲之の篆書册から字をひろって二字四行の七言にした。臨書を学びながら作品にまとめる稽古である。
作者 : 4.会員
掲載 : 2019/08/25 上に戻る