2009年5月 キッズの作品
梨花 白雪香る
友野由梨(中1)
書刻 ホウ板 峰彫 胡粉
青貝箔 20×75
2008年5月
第一作。梨は自分の名。香はお母さんの名。書はこのような趣向をさりげなく布置することができる。青貝箔がなかなか活躍している。
一年に一作ずつ作れば足跡の記念になる。毎週一回ずつ少しずつ彫り進めればやがて立派な作品ができるのでお習字教室も楽しいひとときになる。
筆で紙に「おけいこ」をする以外に、私の教室では印刻も教えている。はじめはひらがなで自分の頭文字を、中学生になれば篆書を彫る。少しずつ慣れるに越したことはない。またTシャツに自分の書いた字をプリントすることもある。これはすでの「広場ニュース」で昨年紹介した。書の表現方法はいろいろある。面白いと感ずればキッズも真面目に取り組むのである。
番号 児00010
作者 : 5.キッズコーナー
掲載 : 2009/05/30 上に戻る
光る月
小嶌裕貴(小2)
書刻 タモ板 彫込 峰彫
白群青 20×40
2008年3月
裕貴は早生まれなので私が教えた中では最年少の書刻かもしれない。大人の彫った板の余りがあったので、それを使った。おかげでタモはタモでも神代タモという上物である。
最近の学校では刃物は危険物で持ち込み禁止らしい。刃物の正しい使い方は一体誰が教えるのだろう。どうすれば安全か、どう使ってはならないか、やはり低学年のうちに実物教育をするのがよいのではなかろうか。案外真剣に聞いてくれるものである。刃物を使ったあとの達成感を味わうのも大事なことである。
ノミを板にあてがって木槌で打ち込むとき、2年生くらいでは刃先がスベる。そこで刃先を指先で支えてやるとよい。はじめはこわごわだが、子供は慣れるのも早く、上手に刃先を固定できるようになる。案ずるよりやらせるが早しである。
番号 児00009
作者 : 5.キッズコーナー
掲載 : 2009/05/24 上に戻る
深山幽谷(しんざんゆうこく)
清水健聖(5年)
書刻 シナ板 彫込 峰彫
文字色 浅青 青貝箔 20×67
2006年11月
作者の第2作。5年生になると字もしっかりしてくる。そろそろ子供の字から脱皮をはかる時期にさしかかる。じっくり自分の字と向き合うには書刻が最適。およそ2ヶ月ほど取り組むわけだから、この4字といやでも向き合うことになる。なかば工作だし、腕力もついてくるので、彫りに熱中して彫りすぎないよう注意が必要。健聖は第一作で大穴を作ったことがある。
この箔は銀をベースにした色彩箔で、派手なようで渋く大人でも使いたい雰囲気である。日本古来の伝統的な画材をたっぷり使わせることが、文化の芽を育む手っ取り早い方法であろう。ついでながら、上部の下げ紐は池の端「道明」の絹の丸紐である。会友の森金星さんの置き土産で皆で大事に使っている。
健聖は早くも中3になっている。
番号 児00008
作者 : 5.キッズコーナー
掲載 : 2009/05/15 上に戻る
ほりのうちまりこせんせい
小嶌裕貴(小1)
書 半切
作者はもう4年生になっている。これは1年入学そうそう、担任の先生の名前をかいたもの。
私は最初に名前からはじめる。自分、親、友達、先生。字は人との交流の基本だから、まずは身近かな名前を大きく書くのである。
これだけの字数を上から下までに収めて、しかも紙の真ん中に配することは、大人だって簡単ではない。小さくても空間把握能力があるので、裕貴は二枚目で納めてしまった。たいしたものだ。
「希望の国」とか「美しい日本」のような、大人の押し付けはそらぞらしく、そんな見え透いた美辞麗句は子供には無用だと思う。そんなことを書かせるウサンクサイおじさんだと、あとになって思われるのは心外である。後生畏るべし。私がそうであったように、じきに批判力がつくのだから、私だって真剣味がなくちゃあ、ね。
番号 児00007
作者 : 5.キッズコーナー
掲載 : 2009/05/10 上に戻る
笑顔健康
高橋桃子(小3) 
書刻 朴板 浮出彫 金箔押 15×76
2006年
桃子の第2作。文面は自分で決めた。私などは大人の打算が働いて「笑顔」は書きにくい字だから「家族健康」とでもしようか、と思うのだが、本人はコンニャク畑のコマーシャルみたいでいやだと言う。
「笑」という字はまことにイヤな字で、私が書くといつも怒ったような字になってしまう。このような微笑みのある字にはとうていかなわない。
板に巾があるので左右に下地の黒を残して「枠浮出し」の形にした。朱と黒とのコントラストは映えるものである。
写真は素手で箔押ししているところ。
私が耄碌するころには桃子は助けてくれるだろうか。
番号 児00006
作者 : 5.キッズコーナー
掲載 : 2009/05/03 上に戻る
大草原馬頭琴
菊地裕一(小3) 
書刻 朴板 浮出彫 銀箔押 15×76
2006年(平成18)
(掲載が前後してしまいましたが、私の錯覚でこれが裕一の第2作でした。平成18年の9月に板を買いに行き、完成は11月です。)
「スーホの白い馬」の全文をノートに書いて一冊にしたところで、この6字を彫ることにした。本人の意思である。
琴という字はまだ習っていない。いようがいなかろうがお構いなく挑戦するのが子供のよいところで、「何年生になって習う字」にこだわるのは大人の勝手な配慮である。
クサカンムリは学校でこうは習わないはず。しかし私は伝統を教えるのが仕事だから、略さない。インスタントな字は所詮はインスタントであり、こんな理屈は3年生になればわかる。
彫っている写真がある。
コッパを板の外にポンと飛ばしてみせると面白がって真似る。5分くらいでコツがわかって「場外ホームラン」と得意になっている。男の子は単純でよろしい。
番号 児00005
作者 : 5.キッズコーナー
掲載 : 2009/05/03 上に戻る
深林青苔(しんりん せいたい)
高橋桃子(小4) 
書刻 桂板 浮出彫 金箔押 緑青
14×52 2007年
第3作の板はランクを上げてカツラにした。ホウより少し目がある。目があるということはサカメもあるわけで、彫ってみたら桃子の板のほうがクセがあった。
手がサカメの感触を覚えるのは私が予想したよりはるかに早かった。子供の感性をあなどってはなりません。「あっ、サカメ!」と言ってノミを反対側から入れなおすのを横目で見て、私は何度も目尻を下げた。
二人が同時に作業をすると、「どれ、あ、僕のより堅い」というふうに倍の学習量になる。日本古来の色名も二つ覚えられる。「白緑びゃくろく」と「緑青ろくしょう」。どちらも代表的な日本画材の色である。
番号 児00004
作者 : 5.キッズコーナー
掲載 : 2009/05/03 上に戻る
