岡村友子の作品
ながつきつごもりなれば

ながつきつごもりなれば、紅葉の色々こきまぜ、霜枯れの草、むらむらをかしう見えわたるに、関屋より、さと、くづれ出でたる旅姿どもの色々の襖(あを)の、つきづきしき縫物・くくり染めのさまも、さる方にをかしう見ゆ。(中略)
(空蝉)行くと来と せきとめがたき涙をや 絶えぬ清水と人は見るらん
「え知り給はじかし」と思ふに、いとかひなし。(源氏物語「関屋」)
石山寺参拝の源氏と上洛の空蝉とが、逢坂山の関屋で偶然にめぐり逢う。晩秋の恋の再燃。
往く人帰る人、さまざまな人生がすれ違う「逢坂山」を背景に、源氏と空蝉との邂逅を設定した紫式部のあざやかな手法が冴える。「これやこの往くも帰るも」という百人一首の蝉丸の歌を思い出してください。
かな 料紙濃墨 半懐紙 (本体)45.5×30.5
出典 源氏物語「関屋」
制作 2001(個展)
番号 友00055
作者 : 2.岡村友子
掲載 : 2010/01/09
