2008年11月 岡村友子の作品
松はもとより常盤にて

松はもとより常盤にて 焚き木となるは梅桜
きりくべて(謡曲・鉢木)
「きりくべて」のあとを省いている。「きりくべて御垣守 衛士の焚く火はお為なり。よく寄りてあたり給へや」という涙のくだりである。大切な鉢木を旅僧のために伐って薪にしてもてなす、佐野源左衛門常世の気持ちが「よく寄りてあたり給へや」に表れている。そこを書かず、前ふりだけで連想せよとの意図であろう。友子の作品にはそのような「途中切れ」の撰文がよくある。
「松はもとより常盤にて」については従来「江戸時代の改作」との指摘が定説となっている。松平姓に遠慮して「松はもとより煙にて薪となるも理や」を直したので意味が通らない。定説となった今でも、「煙にて」にしないところをみると、能楽界にはまだ松平様に遠慮が残っているらしい。
かな 書軸 紙本濃墨
出典 謡曲・鉢木
番号 友00028
作者 : 2.岡村友子
掲載 : 2008/11/28 上に戻る
色まさる まがきの菊も

色まさる まがきの菊も 折々に
そでうちかけし 秋を恋ふらし(源氏物語・藤の裏葉)
キラ(雲母)で雲を横になびかせた料紙。たての字がすっきりと見える。かなは紙とのかけひきがあって面白い。
源氏物語には100くらいの歌があると思うが、歌はほとんど書家には取り上げられない(数えたことがないので正確にはわからないが)。もちろん紫式部の作った歌である。どの歌も歌としてうまくない。はっきり言って下手くそである。小説の名手も、詩心は不得手であったと思う。まあ、小説の筋に合わせた添えものだから、古今集のようには行かないのだろう。文章は名文なのに不思議なことである。
かな 書額 鳥の子紙 57×44/41×29
出典 源氏物語・藤の裏葉
制作 2008(中央区書道展)
番号 友00027
作者 : 2.岡村友子
掲載 : 2008/11/13 上に戻る
鳴るは瀧の水

鳴るは瀧の水 日は照るとも たへずとうたり(謡曲・神歌)
シテの翁が退場すると「鳴るは瀧の水」と千歳が立ち上がって颯爽と舞う第二段。「たえずとうたり ありうとう とう とう」と地謡がつける。
番号友00007~00012を除いて、あとはすべて2007年に月光荘画室2で発表した作品。全20点のこれが最後。
かな 書額 鳥の子紙 砂子 14.5×15.5/46.8×47.8
出典 謡曲・神歌
撮影 ストウディオ・キャトル
番号 友00026
大きな画像
作者 : 2.岡村友子
掲載 : 2008/11/09 上に戻る
色はいずれ 似たりや似たり
色はいずれ 似たりや似たり
かきつばた 花あやめ(謡曲・杜若)
小品で板はバーズアイ・メイプル。メイプルシロップのメイプルである。ひこばえの点々が鳥の目に見立てられて、カナダではそういうらしい。日本の「かえで」とは違うようだ。日本の伝統ではこのような板は手に入らなかったこともあって、まず見たことがない。しかし最近は外材も数多く出回っており、面白い時代になったものだと思う。木質はねっとりとしており、細かな文字をきれいに彫りこむには適している。
ツルツル、ピカピカの肌合いにしたいと思って、塗料をかけては磨き、かけては磨きした。
文意は杜若(かきつばた、と読む)とあやめとは「似ている」ということ。 謡ではなかなかうるわしい「くだり」なのである。
変体仮名はわかりやすく三つ。た(多)、は(者)、め(免)。
かな 書刻 バーズアイ・メイプル 彫り込
11×58
出典 謡曲・杜若
刻者 岡村大
番号 友00025
作者 : 2.岡村友子
掲載 : 2008/11/08 上に戻る
