2008年8月 岡村友子の作品
千年の翠 手にみてり

千年の翠(みどり) 手にみてり(謡曲・高砂)
高砂の松は常盤の松。能の鏡板の松の絵はこの能のためにあるかのようだ。
思い切ってマットを真っ黒にした。意外とモダンな感じになる。紙の密度が高いのでこのような大胆なことも可能だ。もちろん字もそれに負けてはならないわけで、額、字、料紙それぞれがせめぎあい、自己主張しあって一つの世界を生む。
かな 書額 鳥の子紙 砂子 11.7×13.3/33.6×35.2
出典 謡曲・高砂
制作 2006
撮影 ストゥディオ・キャトル
番号 友00021
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作者 : 2.岡村友子
掲載 : 2008/08/21 上に戻る
汲むや心もいさぎよき

汲むや心もいさぎよき 賀茂の川勢の水上は いかなる処なるらん
(謡曲・賀茂)
ワキ能としては颯爽と活きのいい神様が登場してスカッとする。神韻縹渺とした賀茂川の上流はさこそとも思える。
作品寸法は前が作品本体の大きさ / のあとが額の大きさ。端数があるのは特注のため、額屋さんが厳密に記載してくれたのである。普通は四捨五入して端数をなくすのであるが、額屋さんの意気込みもお伝えしたい。
かな 書額 鳥の子紙 砂子 19.3×27.0/42.2×44.9
出典 謡曲・賀茂
制作 2006
撮影 ストゥディオ・キャトル
番号 00020
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作者 : 2.岡村友子
掲載 : 2008/08/14 上に戻る
川瀬の石を拾ひ上げ

川瀬の石を拾ひ上げ 妙なる法の御経を 一石に一字書きつけて
(謡曲・鵜飼)
鵜匠がなりわいのための殺生をして、その結果苦界に沈む。何とかならないか、と考える。人の世の普遍的な課題といえるであろう。能では「石にお経を書いて」成仏の方便を示す。同様な趣旨の能に「善知鳥(うとう)」などがあり、能は一部上流階級のもの、という断定はあてはまらない。さまざまの職業の人々が登場し、社会の隅々にまで目が届いている。
作者は書に関する詞章を選んでこれを書いたのであろう。作品番号・友00005では同じ「鵜飼」の鵜を放つ場面を書いている。
かな 書額 鳥の子紙 砂子 15.8×22.5/47.7×54.4
出典 謡曲・鵜飼
制作 2006
撮影 ストゥディオ・キャトル
番号 友00019
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作者 : 2.岡村友子
掲載 : 2008/08/14 上に戻る
面白や 頃は弥生の

面白や頃は弥生の半ばなれば 波もうららに湖(うみ)の面(おも)
(謡曲・竹生島)
春の琵琶湖の光景。前シテの登場の第一声である。「竹生島」は初心者の習う謡となっているが、詞章としては名文であり、どこを引用しても書になる。余談だが酒席で謡をうなると、シラけることが多い。以前テレビの時代物を見ていたら、遊郭を歩く武士がほろ酔い加減で「竹生島」の一節を高歌して通る場面があった。もちろんプロの声であったが、なるほどこういう使い方もあるのか、と思った。この曲全体にみなぎるうららかさによるものであろう。
かな 書額 鳥の子紙 砂子 25.0×26.6/39.2×40.0
出典 謡曲・竹生島(シテ一セイ)
制作 2006
撮影 岡村(中央がふくらんでしまった)
番号 友00018
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作者 : 2.岡村友子
掲載 : 2008/08/09 上に戻る
四條五條の橋の上

四條五條の橋の上(謡曲・熊野)
「熊野、松風、班女 米の飯」といわれるほどの人気曲。平宗盛の愛人・熊野(ゆや)がいやいや牛車に乗って清水寺への花見へ向かう途中、京の街を通る。四條、五條の橋には老若男女貴賎都鄙、さまざまな人種が往来している。見せどころ、聞かせどころで、小謡はここを謡う。
かな 書額 鳥の子紙 砂子 14.5×14.0/45.3×45.8
出典 謡曲・熊野
制作 2006
撮影 ストゥディオ・キャトル
番号 友00017
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作者 : 2.岡村友子
掲載 : 2008/08/09 上に戻る
山より山の奥までも

山より山の奥までも
道あるや 時代(ときよ)なるらん(謡曲・菊慈童)
「菊慈童」の冒頭。通常、冒頭のくだりはワキが謡う。この曲全体の主題および雰囲気を伝える名文が多い。
次の作も同じだが、初句「山より山の奥までも」は二度くりかえす。謡本では二度書くが、書ではくりかえしを避ける。謡を知っている人は二度、目を走らせてください。
かな 書額 鳥の子紙 砂子 15.0×25.0/24.7×35.0
出典 謡曲・菊慈童(次第)
制作 2006
撮影 ストゥディオ・キャトル
番号 友00016
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作者 : 2.岡村友子
掲載 : 2008/08/07 上に戻る
今をはじめの旅衣

今をはじめの旅衣 日も行く末ぞ久しき(謡曲・高砂)
「高砂」の冒頭。謡では「今をはじめの旅衣」を繰り返して「日も行く・・」と謡うので、そう心得て二度見てください。
この「謡曲詞章」の作品は2006年に銀座「月光荘画室」で発表したもので、全20点ある。料紙は田中健助商店の砂子の名人・市川克己氏の練達の技による。また額は従来の「和縁(わぶち)」の枠を破って、フランス、イタリアの縁を使い、マットも上品でオシャレな雰囲気を意図したので、試みとしては斬新だと思っている。
かな 書額 鳥の子紙 切箔 17.2×17.0/43.1×42.8
出典 謡曲・高砂
制作 2006
撮影 ストゥディオ・キャトル
番号 友00015
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作者 : 2.岡村友子
掲載 : 2008/08/07 上に戻る
在原の 跡なへだてそ かきつばた

在原の 跡なへだてそ かきつばた
川辺の水の 浅からず(謡曲・杜若)
杜若は「かきつばた」と読む。これも書刻で、板は松。
謡本の字には昔は変体仮名(草仮名)が頻出していたが、明治33年にかなの標準字体から外されて、現行の47文字だけにされてしまった。したがってこの作品も「阿と那へだてそ」とあって、習ったことのない現代の人には読みにくい。平安の昔から、明治33年まで、通用していた文化遺産であったのに、途絶えてしまったわけだ。なぜ当時も今も「かな書家」は反対運動を展開しなかったのだろうか。そちらのほうが問題だ。
かな 書刻 松板 彫込 16×36.5
出典 謡曲・杜若
制作 2006
刻者 岡村大
撮影 ストゥディオ・キャトル
番号 00014
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作者 : 2.岡村友子
掲載 : 2008/08/07 上に戻る
とうとうたらりたらりら

とうとうたらり たらりら
たらりあがり ららりとう
ちりやたらり たらりら
たらりあがり ららりとう(神歌)
ご存知ない方にちょっと説明させていただくと、これは能「翁」の冒頭、三丁の鼓にのって、シテの謡い出しである。「翁」は「能にして能にあらず」といわれていたが「能にあらずして能なり」と名言を付したのは故斉藤太郎氏(観世誌・主筆)であった。ことほどさように「翁」は型破りの能であるが、新春の「翁」ほど「お能を見た!」という気持ちにさせるものはない。
「とうとうたらり」というのは、すでに世阿弥の時代でさえ意味不明だったようで、ひたすら神聖侵すべからざるものとして伝えられてきた。この謡に限って「翁」といわず「神歌」というのも、それを示すものであろう。
この板は密度の高さでは折り紙つきの紫檀。小ぶりではあるが、さすがにズシリと重い。彫ったのは私だが、書き手には「序破急」をつけて、と注文を出した。
かな 書刻 紫檀板 彫込 胡粉 15×75
出典 神歌
制作 2006
刻者 岡村大
撮影 ストゥディオ・キャトル
番号 00013
部分画像
作者 : 2.岡村友子
掲載 : 2008/08/01 上に戻る
