岡村天渓の作品
合点
合点(がてん)
これは袱紗(ふくさ)である。さるお茶会に亭主からの依頼で染めさせて参会者に配ったもの。そのときの天溪の講演記録から抜粋。
「南方録」というのはお茶をやる人のバイブルです。茶道の根本精神がその第一巻に総論としてあり、その中ほどに「合点」という語が出てくるのです。まず重要なのは「点」であります。点は「アキラ」「カギリ」と日本では読んでいる。「区切り」とも読む。「句読点」の点ですね。折り目、節目であり、はっきりと明らかなものです。お茶ではこれが基本なのです。「お点前」といいます。前という字は進めるという意味です。基本を正確に覚えて次に進んでゆく。
「合」は「あう、かなう」と読みます。合点は「点にかなう」。節目、節目で基本にかなっていることです。点はあわせることによってしっかりと支えられます。今の稽古事は形式に流れて、基本がどうもおろそかになってしまっている。
さて「南方録」には点とは何かが書いてある。利休は事もなげに四か条をあげています。一は「夏は涼しいように」、二は「冬はあたたかなるように」、三は「炉は湯のよくわくように」、四は「その湯が服しやすいように、これにて秘事は終り候」。お茶の秘伝はこれがすべてだと言うのです。「これを合点と申すなり」とあります。合点がゆきましたか?
篆書 袱紗
出典 南方録
制作 1981
番号 天00040
作者 : 1.岡村天渓
掲載 : 2009/03/27
