岡村天渓の作品
月好共伝唯此夜・・・

月も好し 共に伝う 唯だ此の夜 境間 皆道(い)う是れ東都
嵩山(すうざん) 表裏 千重(せんちょう)の雪
洛水(らくすい) 高低 両顆(りょうか)の珠(白居易)
この詩は七言律詩で、あと7字4行が加わるのだが、前半をとりあげている。「草書の散らし」という和風の試み。
中国の書道史では「散らし書き」はない。これは我が国の仮名書家の発明であり、漢字作家はあまり試みないようだ。空間構成の面白さは飛躍的に広がるかわりに、「嵩山表裏」「洛水高低」と「千重の山」「両顆の珠」の対句の面白さは消えてしまう。
白居易(白楽天)の詩は平安時代から我が国に伝わって、かなりもてはやされた。この詩は藤原行成筆とされる名品にも書かれている。ただし今、校閲してみると6箇所ほど誤記があり、当時伝来した写本と今日の「白氏文集」との異動がある。古法帳を鵜呑みにはできないことがわかる。
草書 風炉先屏風 紙本濃墨
出典 白居易
制作 1964
番号 天00035
作者 : 1.岡村天渓
掲載 : 2009/03/08
