2010年5月 岡村天渓の作品
塵心起則堕人間
塵心起きれば則ち人間に堕つ(白居易)
1964年天溪の最初の個展の作。カラー写真がないのでモノクロでご勘弁願いたい。どこぞの御宅にかけられていれば幸いである。
詩句はわかりやすい。「人間」は「じんかん」と読みたい。仙人であっても塵心(じんしん)が起きれば、人間界に堕ちてしまうのである。捨ててもよいようなものを塵というのであろう。私の大学の恩師は「塵も積もれば山となる」ということわざが嫌いで、「塵が積もっても塵の山しかできない」。と茶化していた。
塵(ちり)という字は鹿の下に土である。鹿の群れがまいあげる土ぼこりを指す。篆書の鹿の字形は上に二本の角がある。
篆書 書刻 桧板 浮出彫 金箔押
出典 白居易
制作 1964
番号 天00061
作者 : 1.岡村天渓
掲載 : 2010/05/23 上に戻る
雖云一百年 豈満三萬日

一百年と云うと雖ども 豈(あ)に三萬日に満たんや(寒山)
百年と云ったって、たかが三万六千五百日たらず、大した長さではない、と寒山の強がりが面白い。時にはこのように開き直ってみるのも一興だろう。
この隷書は謹直なものだが、波磔(はたく)は「年」の一字だけにとどめている。曹全碑などのいわゆる「八分隷」になって、波磔が隷書の一大特徴となったが、初期の漢代の古隷では波磔は少ない。古隷に注目をしつづけて、波磔にばかり頼る隷書を避けて、このように「あえて使わない」試みをしていた頃の作品である。
隷書 聯軸 紙本濃墨 24×120×2(?)
出典 寒山
制作 1970
番号 天00060
作者 : 1.岡村天渓
掲載 : 2010/05/05 上に戻る
