2009年4月 岡村天渓の作品
隺不移

隺(かく)として移らず(白居易)
茶墨の隷書。隺は確に同じ。しっかりとして微動だにしない。
きょろきょろ、周りばかりを気にして、腰の据わっていない生活はもうやめにしよう。もう誰が何と言おうと、これと信じた道をゆく。最近はそういうガンコおやじが減ってきた。年甲斐もなく若者ファッションに迎合して、薄っぺらさまる出し。ケータイなんか俺には不要、という迫力とキガイがあってもいいじゃないか。
隷書 書額 紙本茶墨
出典 白居易
制作 1964
番号 天00042
作者 : 1.岡村天渓
掲載 : 2009/04/17 上に戻る
麦老桜桃熟

麦は老いて桜桃熟せり(蘇軾)
麦の刈り取りは初夏。老いているので夏に入っているのか。桜や桃の実が熟して収穫を待っている。
人生の後半、そろそろ成熟した年齢になる。収穫が問われるが、果たして我が収穫は? と思わず自省してしまう。
最後の「熟」の下につくテンテンはどこに行ったの? と思う方があるかもしれない。ごもっともな反応である。篆書では「熟」を「孰」に書く。つまりテンテン(火)を省く。これだけで器で羊肉を煮る形なので、下の火はなくてよい。篆書の聖典である『説文解字(せつもんかいじ)』にはこの字を収録していない。『説文』にない字は、できるだけ原形にさかのぼって代用させることになっている。「塾」などは収録されているので、『説文』の記載漏れだろう。しかし「説文信奉の伝統」を持つ書道界では一応そうすることになっている。
この作品の裏話は私の「書道コラム33」に書こうと思うので、ここではふれない。この写真はガラスのせいで周囲の光が入り込んでしまい、我ながらよろしくない。ご勘弁いただきたく候。
篆書 書刻 扁額 杉板 彫込 120×30(推定)
出典 蘇軾
制作 1977
東京 N氏蔵
番号 天00041
作者 : 1.岡村天渓
掲載 : 2009/04/02 上に戻る
