2008年11月 岡村天渓の作品
白鵲(はくじゃく)楼前

白鵲(はくじゃく)楼前 翠(みどり)堆(たい)を作す
縈雲(えいうん)嶺路 若為(いかで)開かん
故人は応に千山の外に在るべし
梅花 遠信を寄せて来たらず(蘇軾)
赤い染紙にやわらかな楷書。半切1/2の既製の寸法に七言絶句を収めた。ところどころ行書の筆致があり、行書としたほうがよいかもしれない。手本の楷書とは違う「作品」としての楷書、というものにこだわっていた。天溪の楷書手本は山のようにあり、どれも寸分のスキもないものだが、「作品」には少しのスキをもたせたい、と思い、またメリハリもつけねばならず、苦心した結果、やや行書の筆致を加える、というあたりに落ち着いたのではなかろうか。字間、行間はドンピシャである。このあたりにスキをつくりたくはなかったらしい。
楷書 書額 赤染紙 濃墨 半切1/2額
出典 蘇軾
番号 天00028
作者 : 1.岡村天渓
掲載 : 2008/11/28 上に戻る
天地正大の気

天地正大の気(藤田東湖)
これは天溪の書で彫りは私である。死後に本棚の奥から、文字を貼りこんで彫るばかりになっているヒノキ板を発見した。この際思い切ったことをしてやれと、鎌倉彫りのように浚うことにし、色は鎌倉彫とは逆に、朱漆を地色に研ぎ出した。鎌倉彫では普通黒がベースになって上から朱を塗り、黒を研ぎ出すのである。彫りはゴッホのタッチのように渦巻く大気。ゴッホ晩年の麦畑の絵が頭にあった。
詩句は藤田東湖のもので、日本人の漢詩をあまり認めなかった天溪にしては珍しい撰文である。天と正とが特殊な形で読みにくい。天溪は「盲千人、目あき一人」と言い、「私はその一人を相手に仕事をするのだ」と言って、読み難さには全く意を払わなかった。
篆書 書刻 扁額 ヒノキ板 浮出彫 金箔押 朱漆研出 96×30
出典 藤田東湖・天祥正気歌
刻者 岡村大
番号 天00027
作者 : 1.岡村天渓
掲載 : 2008/11/08 上に戻る
