2008年5月 岡村天渓の作品
空山 人を見ず

空山人を見ず 但だ人語の響きを聞く
返景深林に入り 復た青苔の上を照らす(王維)
有名な王維の詩。唐詩選にもある。
天溪65歳ごろの昭和52年(1977)の作と思われる。この時期、王維の詩を行書で多く書いている。
「人」が二字、「入」もあるから、この三字が見せ所。行書作品のメリハリは、ひとつの文字のなかに肥痩をうまく組み合わせ、しかも調和がとれていなければならない。詩趣からして静寂感が鑑賞のポイント。
表装は絓絹(しけきぬ)の三段。本金の一文字がつき大和仕立てだが、本来この横幅だと柱(左右の青い部分)も太くする。それを半分に細めて、茶人好みの洒脱な仕立てにした。この表装を半憧補(はんどうほう)という。
行書 書軸 紙本濃墨
出典 王維
番号 天00004
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作者 : 1.岡村天渓
掲載 : 2008/05/30 上に戻る
雨中
雨中の春樹 万人の家。王維の詩です。読んで意味がわかる作品は助かりますね。イメージがすぐ思い浮かびます。春雨のなかにけっこう大きな木があるんですね。雨宿りする人があります。誰でも木陰に身をよせることができます。まさに万人の家です。春雨だからそのうちやむでしょう。
線を細くした行書です。青墨で雰囲気をだしています。このような詩句の場合、下手に濃墨を強めると、ザアザア降りになってしまいます。
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作者 : 1.岡村天渓
掲載 : 2008/05/30 上に戻る
払衣
天溪の篆書には二書体があり、晩年に刊行しようとしていた「蘭亭序」の篆書篇で「ここは二体で書いたからそのまま印刷してくれ」と頼まれたものがあります。いずれ刊行するか、この欄でもご紹介することになりますが、そのときのためにこの書体についての解説を保留しておこうと思います。
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作者 : 1.岡村天渓
掲載 : 2008/05/30 上に戻る
石梁茅
これは天溪楷書手本の一葉です。王安石の有名な詩の冒頭ですが、これをいきなり初心者に渡して書かせるという「暴挙」に近いことをしていたので、話のタネに掲載します。初心者の反応はまずドギモを抜かれます。はじめて筆を持ったのに、こんな無理な! 第一読めない。何が書いてあるの? 二年目の先輩が横目で見てニヤニヤ。俺もそうだった、と思い出しています。字は画数ではない。一本一本の集成なんだ。このことを頭にタタキ込むには理屈を言わず、とにかく線を引かせる、それによって線に対する姿勢が生まれる。なにしろがんばって書かねば半紙からはみだしてしまうのです。ベテランの弟子の述懐があります。「初心者のわたしに、本物の漢詩を書かせてくださった。それがうれしかった。」この手本はそうした歴史的追憶のかなたにあります。
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作者 : 1.岡村天渓
掲載 : 2008/05/09 上に戻る
