岡村大の作品
倚杖柴門外 臨風聴暮蝉
杖に倚る柴門の外 風に臨んで暮蝉を聴く(王維)
老人が杖にもたれ簡素な柴の門前で暮れがたの風のなか、蝉の声に静かに耳を傾けている。
視覚的には中国の田園の静止画。
聴覚的には蝉の音が遠く近くと奥ゆきを持つ。私はヒグラシのしみじみとした音を連想する。
触覚的には夏の夕刻のほっとする涼風である。
視覚、聴覚、触覚の三つが十文字にビシッと決まっている名句。
浚いのノミ跡をしっかりと見せるこの研ぎ方は父の創出した技法。書刻の分野では他に見たことがない。「天溪研ぎ」と称することにしている。
板は檜の柾目。目が一定した素直な板で気持ちよく彫れた。檜は彫ればその香りがすばらしい。詩句は視覚、聴覚、触覚だが、彫る私には更に嗅覚が加わって四重の喜びである。
隷書 書刻 楹額 檜板 浮出彫 天溪研
18.5×140
出典 王維
制作 2005年2月
番号 大00126
作者 : 3.岡村大
掲載 : 2011/10/30
