
岡村大の作品
99 聴於無声
無声を聴く(荘子)
声無き声を聴くことはむずかしい。地球の悲鳴を聞き取れなかった人類が、今世紀に直面している問題がこれだ。荘子のこの句は現代への痛烈な批判として再考の余地がある。二字目は「於」で、聴の目的語を示す。
上にのべたのは私の言い方であって解釈はこうでなければならない、というつもりはない。「あの人は何にも言わないけれど私だけは分かっている」と読むことも可能。その場合なら、屋久杉のモクメは私のゆらぐ思いとも見える。政治家なら民の声無き声に耳を傾けるのが第一の仕事であろう。
屋久杉特有の細かいモクメが、何らかのイメージを誘う。汚染された河川だろうか。平彫に黄色を入れた。
篆書は一般的には縦長。これは正方形の篆書。呉譲之の印譜を参考にした。
篆書 書刻額 屋久杉板 平彫 55×40/31×16
出典 荘子
制作 2007
東京 T氏蔵
番号 大00099
作者 : 3.岡村大
掲載 : 2010/08/06