岡村大の作品
留連戯蝶時々舞
留連(りゅうれん)戯蝶(ぎちょう)時々(じじ)舞い
自在嬌鶯(きょうおう)恰々(こうこう)と啼く(杜甫)
留連(りゅうれん)は居続けること。去らずに止まってはひらひら舞っている蝶々。 一方、あちこち自在に飛び回って愛想をふりまいている鶯はこうこうと鳴いている。中国ではホーホケキョではなく「恰々」と啼くらしい。
おそらくこの詩の下地には色町のイメージが重なっているのだろう。留連は娼家に「いつづけ」ることだし、嬌鶯(きょうおう)はその種の女性でもある。とするなら、戯蝶(ぎちょう)は客たる男で、鶯嬢の美声に興じて立って踊ることもあったかもしれない。
たかが春の庭の光景、と思わせながら、存外色っぽい単語を使って艶やかさをかもし出しているところに、漢詩の底力を見る思いがする。楷書はその色っぽさをいささかカモフラージュしてはいる。
板は栂(つが)の柾でかなり彫りにくかった。
楷書 書刻 額 栂板 枠浮出彫 28×78
出典 杜甫
制作 2006
番号 大00086
作者 : 3.岡村大
掲載 : 2010/07/10
