目次:岡村大
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201 魚淵游鳥禽飛戯

魚淵に游び 鳥禽 飛戯す
篆書
書刻 桐板彫込 峰彫
ウヅクリ仕上 95×20
出典 自詠
制作 2019
番号 大00201
峰彫りは光の当て方によって陰影が浮かび出るので、上の写真のようにフラットな光線ではその面白味が半減する。ライティングは難しい。
桐板の木目は焼き入れを施し、ウヅクリで木目を浮き出させ、白を塗った後、表面を拭き取って仕上げる。琴の桐板の処理法を応用した。
橙色には黄のラメ(サンドアートパウダー)を少し加えた。写真では分からないが直にみればあちこちキラキラしているはずである。
七字の意味は「魚が淵に游び、鳥や小禽が飛び戯れている」という平和な里の風景。今の日本に消えつつある情景だ。
この篆書は金文でやや古形。木オモテに彫ったので上下に天然の木肌部分を見せ、枠として使った。
篆書(ten-sho):oldest script of five letter-styles(五書体)/書刻(sho-koku):wood carving/桐板(kiri-ita):foxglove board
(paulownia)/彫込(horikomi):carve letters in intaglio/ウズクリ仕上(uzukuri-shiage):one of the methods of finishing surfice, after searing lightly, polish used special brush named Uzukuri/ size:95×20㎝/2019/#大00201/【Literal interpretation】Fishes(魚) play(游) a river pool(淵), bird and small animal(鳥禽) fly or play for each(飛戯). Such peaceful rural scenery will be gradually lost in our country.
作者 : 3.岡村大
掲載 : 2019/09/13 上に戻る
200 緑陰竹枝和静韻
緑陰竹枝和静韻
緑陰の竹枝 和して静韻
行書
書刻 榀ベニヤ 彫込 草彫
靑貝箔押 20×65
出典 自詠
制作 2019
番号 大00202
杉並の実家を整理し昨年から妹の家に居候している。ここの庭に孟宗竹が伸びて毎年タケノコがどっさり取れる。緑陰の竹枝が触れ合ってサワヤカな音を立てる。これはなかなかの清涼剤だ。
榀(シナ)ベニヤの変哲のない棚板である。しかし表面の榀は柔らかく刀を入れると彫りやすい。初心者はぜひ試してください。
行書(gyo-sho):running script of five letter-styles(五書体)/書刻(sho-koku):wood carving/榀板(shina-ita):shina board (linden)/彫込(horikomi):carve letters in intaglio/草彫(so-bori):one of the technique of cavings, shed-roof style suitable to gyo-so(行草)/靑貝箔(seibai-haku):blue foil/size: 20×65cm/2019/#大00200/【Literal interpretation】Any time bamboo branches(竹枝) sway in the wind, its green shade(緑陰) are in harmony with soft touching sounds(和静韻).
作者 : 3.岡村大
掲載 : 2019/02/02 上に戻る
199 四季平安
四季平安 
隷書
陶板 呉須 14×19
焼成 八王子焼(工藤孝生)
制作 1999
番号 大00199
肩の力の抜けたややだらしない平安が庶民の平安にふさわしい。江戸っ子はシャカリキ、マジ、ガチンコ勝負というような「苦節の表情」をカッコ悪いとする生活感を持っている。それより痩せ我慢を笑い飛ばすほうが粋である。で、こんな字にしてみた。隷書とも楷書ともつかないボヤけた字というネライだが。
作者 : 3.岡村大
掲載 : 2017/11/14 上に戻る
198 麗日殘春を照らす
麗日殘春を照らす
隷書
陶板 弁柄 22×14
焼成 八王子焼(工藤孝生)
制作 1999
番号 大00198

絵具ダマリができている。書き上がった時点ではわからない。焼き上がって「あれ」と思うのである。それはそれで面白いので額に入れてみた。私の計算ではもっとムラムラになるはずであった。だがこの上澄み液のつけかたはちょっと不足している。こういうところが陶板の一筋縄では行かぬところ。写真は工藤公房で。
作者 : 3.岡村大
掲載 : 2017/11/14 上に戻る
197 對青山
青山に對す 
草書
陶板 呉須 14×19
焼成 八王子焼(工藤孝生)
制作 1999
番号 大00197
陶芸では絵や模様を描くことを「染め付け」と言っている。私は「字入れ」と言っている。墨と違って陶芸の絵具は泥だからすぐ沈殿してしまう。濃度を均一に保つことが字入れの難しさで、上澄み液をついついすくって失敗するのである。父は先代の半次郎先生がつきっきりで乳鉢をぐるぐる撹拌してくださっていたので、濃度は最適に保たれ、書き手は能天気の見本であった。私などはそんな助手がなく自分でそのつど撹拌せねばならず、気分が中断されてどうもやりにくい。自動撹拌機のようなものがあったらなあ、といつも思っている。
作者 : 3.岡村大
掲載 : 2017/11/14 上に戻る
196 悠々
悠々 二枚 
篆書
陶板 呉須 14×19
焼成 八王子焼(工藤孝生)
制作 1999
番号 大00196
円板であって皿とはし難い。楕円額に収めるつもりで作ったのだが、いつもの店に行ったらもう扱っていなかった。日本では雲盤という色紙を容れる丸額ばかりで「楕円形」の額はない。額縁屋の不勉強か、日本の風土になじまないのか、ありそうでないのが楕円額である。私はスイス製を愛用していた。西欧では船内によく楕円額を用いている。船室の丸い窓に合っているのだろう。スイスには海がなく船とは縁が薄いと思われるのに額に関しては先進国である。肖像画とともに開発されてきたものであろうか。
作者 : 3.岡村大
掲載 : 2017/11/14 上に戻る
195 龢(和)樂
龢(和)樂 
篆書
陶板 呉須 14×19
焼成 八王子焼(工藤孝生)
制作 1999
番号 大00195
和楽の「和」は戦争の終結の和議のことで「龢」と混同されるけれども正しくは違う字形、意味である。
龢は和よりも古くからあり、「禾(カ)」と「龠(ヤク)」との合字。カが声符で稲穂が垂れた形。「龠」は笛あるいは枡(ます)で、一龠は黍(きび)千二百粒、一合の十分の一だという。
辞書には「龢は和の異体字」と記すが、別字が混同されたのであって異体字とするのは正しくない。
「龢」は農耕儀礼で、豊作の「陽和」を意味するのであろう。笛を吹いて踊ったのかもしれない。
作者 : 3.岡村大
掲載 : 2017/11/14 上に戻る
194 春遊弄石
春に遊びて石を弄す 
行書
陶板 呉須 14×19
焼成 八王子焼(工藤孝生)
制作 1999
番号 大00194
本当を言うと「石を弄ぶ」趣味は私にはない。春の遊びなら仙台にいたころは山菜取りだった。むづかしい野草は手に負えないからノビルやヨモギやフキノトウ程度でけっこう春を満喫していた。
そのころ研究室の玉城康四郎先生が老熟の境地に居られ「このごろ石が面白くてね」と仰言っておられた。「そのへんに転がっているただの石が何とも言えない」のだそうで、若き私は不遜にも「いずれそうなったらそろそろと言うことか」と思っていた。今の私は当時の先生の歳をとうに超えている。肉体は衰えたが幸い老境のしるしである石にはまだ取り憑かれていないようだ。
作者 : 3.岡村大
掲載 : 2017/11/14 上に戻る
193 随風
随風 
行書
陶板 墨呉須 14×19
焼成 八王子焼(工藤孝生)
制作 1999
番号 大00193
小皿を皿として使うなら、ここに書かれた字は食べ物に隠れて何が書いてあるのか分かるまい。字がどんな役割を果すのか。食べるにつれて見えてきて、最後に合点の行くような文句があればよいのだが。
「うまかったかい?」
「お代わりは?」
「食欲は肥満のもとだ」とか。
「随虫」とでもして「腹の虫におまかせ」というなら分かるが、「随風」ではちと合点が行かぬ。
作者 : 3.岡村大
掲載 : 2017/11/14 上に戻る
192 一燈夜雨故郷心
一燈の夜雨 故郷の心 
行書
陶板 呉須 14×19
焼成 八王子焼(工藤孝生)
制作 1998
番号 大00192
おかしな馬蹄形をしている。どう使っていいやら分からない。陶板に字入れをするにあたって、あれこれ書き方を考えてきたが、こういうおかしな形も粘土という素材の特性なので、アタマを柔らかくしてあらためて考え直したいものである。
陶芸は皿、茶碗、壺、花器などある程度形の方向性が見えている。それぞれに使用目的があるからである。底が抜けていたら茶碗や花器には使えない。しかし字書きからすると、使用目的に制約される義理はないわけで、むしろ何に使うか分からないような形体こそ「字入れ」にふさわしいとも云えるのである。
作者 : 3.岡村大
掲載 : 2017/11/14 上に戻る
