4-14 扇面考 扇面の歴史 6 完成度の高さ - エッセイ論文

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4-14 扇面考 扇面の歴史 6 完成度の高さ

 すぐれた文化というものは、おしなべて成立の時点で完成度が高く、その後の改変の余地がほとんどない、という特性をもっています。扇はシンプルな形なのですが、広げたり畳んだりすることで表情を変え、とりわけ我が国の舞踏の世界ではなくてならないものになりました。

 室町時代の文化を代表する能楽では、曲によって中啓(ちゅうけい)という半開きの扇を使います。骨に反りをもたせた独特の形で、畳んで持った姿が美しくできています。改変といえばこれくらいのものでしょう。

 江戸時代になって落語の小道具にも大活躍することは皆さんもよくご存知のことと思います。箸になったり、煙管になったり、平安時代の姫君が思いもよらなかった用法まで現れたわけです。新撰組と一時共闘した芹沢鴨はつねに鉄扇をひけらかして歩いていたようです。これなどは立派な武器です。小野小町さんが知ったら美しい眉をひそめることでしょう。

 扇面の形にくりぬいた窓を見ることがあります。ヨーロッパの建築にはアーチ型はありますが、扇面形はほとんど見られません。扇の形にトリミングされた実景は和風の嗜好に合っていると思います。現代の建築家はこうした日本の意匠をもっと積極的に取り込むプライドを持ってほしいものです。

掲載日時 2009 年 12 月 13 日 - PM 01 : 17

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