4-10 扇面考 扇面の歴史 2 時代風潮
どこから発したかという起源説は、とかく勝手になりがちのものでありまして、その時代の風潮を反映することが多いのです。
中国の五山文学が盛んに輸入され、詩文の主流をなしていたころ、鎌倉から室町にかけては何でも中国起源にする風潮がありました。有職故実が尊ばれる時代にはどうしても起源に権威を持たせたくなります。中国は古い国ですし大先進国です。扇も本来は中国に発した、といえば一応はかっこうがつくというわけです。しかし説明が学問的に見えれば見えるほど「こじつけ」が多くなります。
ところが江戸時代に入って、国学がおこると、今度は何でも日本起源にしてしまおうというナショナリズムが時代風潮となります。扇を国産第一号にするために、武内宿禰(たけのうちのすくね)の発明であって、神功皇后(じんぐうこうごう)の三韓征伐のころだ、ということになります。これも根拠がありません。
今のように中国産のものが「農薬混入」「海賊版」「偽装品」「贋物」などなどの粗悪レッテルを貼られている時代だとどうでしょうか。扇子のような優雅なものが中国人の発明だったなんてとうてい考えられませんね。商業モラルもなく贋物を堂々と本物だと言って平気の平左、という国民性が五千年も前から培われてきているのですから、とてもとても善良な日本人などかなうわけもありません。
ですから私もここで突然ナショナリズムに目覚めて、時代風潮を尊重し「扇子の我が国起源説」に加担したいと思います。
掲載日時 2009 年 12 月 06 日 - PM 02 : 27
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