4-3 扇面考 特殊な形をしている
扇面の起源と歴史はあとでふれるとして、まず「書く」ことを中心に考えてみましょう。
漢字、かな、漢字かなまじり(和漢朗詠、謡曲、短歌、俳句など)、古典からの引用、格言、遺訓、訓言など、実に幅広い内容が扇に書かれています。短冊のように、一定の書式を起源として持つものではなく、あくまでも日常のしゃれた小道具ですから、どのように書かなければならないという決まりはありません。
ただ、実際の扇(成扇)に揮毫する時には、当然左右一折り分は空け、折りの谷に書くようにしましょう。これは見易くしたいのと、折りの山に字がかかると、たたんだ時に墨がちらちら見えてきれいでないからです。
これに対して扇面は扇形の平らな紙に書くのですから、折り目はありませんし、実際の扇の制約からは解放されているわけです。したがって自由に書いてよく、要は全体とのバランスを考え、天地左右のハマリ具合を検討することになりましょう。
しかし扇面というのは下細りの特殊な形をしています。折りの線のスキマは上が太く、要(カナメ)に近づくにつれて細くなります。成扇に書く場合、谷の中に字を入れると、下に行くにつれて字は小さくせねばなりません。折り巾を考えないで済む扇面はそれがありませんが、狭い下方に大きな字が来ると収まりが悪くなります。しかしまた何時でも下を小さくとって単調になるのも考えものです。そこで、行間に変化をつけたり、線を太く、細く、大きく、小さくと筆の特性を活かして変化をつけねばなりません。
四角い紙面に慣れている我々にはあたり前のことながら、扇面はなかなかやっかいな、しろものです。それだけに書をたしなむ人はまがりなりにも、一応の知見を貯えておく必要があるのです。
掲載日時 2009 年 12 月 03 日 - PM 08 : 04
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