3-8 般若心経の本文 (8)補遺 - エッセイ論文

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3-8 般若心経の本文 (8)補遺

(8)補遺

■■初唐の正字■■  さきにも述べたとおり、この碑は王羲之の書(行書)から集字したものである。その字形は初唐までに完成した伝統を踏まえている。『干禄字書』はこの碑ができた時点(672年)よりも後(774年)のことなので、これは私のいう「初唐の正字形」にあたる。

■■以下の字は現行活字とは異なる■■  従って般、蜜、經、詔、訳、薩、照、皆、異、受、界、所、埵、礙、涅、槃、耨、藐、等、咒、能、虚などの字形は、「干禄形」や現行活字(康煕字典に基づくもの)とは異なっている。また「波羅掲諦」の波は「般」に、「菩提薩婆訶」の薩は「莎」、訶はゴンベンでなく口ヘンになっている。最後は「般若多心経」と省略形である。これなどは何らかの口授の伝統を反映したものではないかと思われる。また無は无となっておらず、後世の写経体とも一線を画しているが、これは王羲之の行書にもとづいたためであろう。字形については私のこのサイト「楷書字形の変遷」にくわしくのべておいたので、参照されたい。

 下は忠実に初唐形で書いた私の写経である。

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掲載日時 2009 年 11 月 28 日 - 午後 08 : 15

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