4-32 扇面考 作品鑑賞 2

松本芳翠(まつもとほうすい 1893~1971)の扇面です。芳翠は愛媛県の人。16才で上京して日下部鳴鶴に学びました。鶴門の第二世代の筆頭に上げられる大家で、特に楷書は有名です。私は楷書もさることながら、芳翠の草書が好きです。(半切を一幅持っています)。
これはその芳翠の草書の成扇。「新翠(しんすい) 衣に滴(したた)る逕(みち)に沿う竹 幽香(ゆうか) 歩に随う籬(まがき)を繞(め)ぐる花(張松霞)」という七言二句です。道沿いに竹林が続き、その下道を歩く私の衣に竹の新緑がしたたり落ちる、道の脇にめぐらされた籬(まがき)の花の香がかすかにただよっている、静かな散歩です。
墨の濃淡、肥痩(ひそう=線の太い細い)、字形の面白さ、空間処理の巧みさ、どれをとっても絶妙です。「繞」のイトヘンなど芳翠らしいあでやかさがあってなんとも言えないよさがありますね。
写真では読めませんが、関防印は「翠」、最後の鈴印「来吉斎」という雅号の由来は芳翠の「来吉斎記」という書作品にくわしく出ています。
掲載日時 2010 年 02 月 28 日 - PM 02 : 53
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