4-23 扇面考 扇面重ねのポイント
重ねることでどのような変化が現れるでしょうか。
まず、上になる扇面と下になる扇面の重構造が紙面を複雑にします。上になる扇面から下になる扇面へと文字(和歌)が流れます。和歌はどこかで改行されて二枚目に移るので、自然な流れからすれば、下の扇面には通常下の句がきます。分かれてはいるが、重なり合ってつながっている、というところがポイントです。
次は重みの変化です。上になる扇面は全面が使えますが、下になる扇面は重なった部分だけ面積が狭められているので、小さい面への配慮が必要です。上になる扇面は重くなるのです。少ない下の扇面が押しつぶされてはいないでしょうか。重なりには重さが働く、ということを忘れてはなりません。これは一枚の扇面にはなかった新しい局面です。
このほかのパターンとして二つの扇面の大きさを変えてみる、模様は同じで色違いにする、二枚目を上にする、など自由な発想ができるでしょう。ただし応用の難しさが面白さに変るには、どのような変化にも対応できるふところの深さが必要です。したがって、かなの筆法をマスターしないうちに手を下すのは「怖いもの知らず」ということにもなりかねません。
前ページの作品は野呂純子の「髪五尺ときなば水にやはらかき乙女ごころは秘めてはなたじ(与謝野晶子)」の扇面重ねです。まだ検討すべき余地もありますが、上記の基本をふまえ、目的意識が鮮明で、よく考えて散らしています。
掲載日時 2010 年 01 月 22 日 - PM 03 : 38
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