4-22 扇面考 扇面重ね
初期のキリスト教祭壇画などには、上部が半円形あるいは三角形という画面を加える例があります。しかしやがて四角い画面に吸収されて、近世以降には見られなくなります。もちろん扇面形はなく、キャンバスを重ねるという発想も西欧にはないようです。
これに対して我が国では扇面を部分的に重ねてしまうという特殊な紙面構成を考え出しました。左右相称を本能的に避ける潜在意識が独自の空間把握を生み出したと言えましょうか。
考えてみれば日本の王朝文化は「重ね」の発想を持っています。十二単衣は衣服を重ね、色を重ねることで成り立っています。色ばかりでなく形も重ねられるのです。もともと扇は桧扇のように薄い桧の板を五枚、十枚と重ねたものでした。扇の上には夕顔の花を重ね、恋の歌を載せました。また半開の状態で口許を隠すというような、女性ならではの使い方もあり、扇面を全開の形だけに限定しない発想もありました。
扇面の重ね方によってさまざまなバリエーションが生まれます。それに伴って文字の流れや配置が変ってきます。その工夫のない扇面重ねは意味を持ちません。漫然と空いたところに置きました、では無為無策もいいところです。形に内容が伴っていない不用意な扇面重ねは困りものです。やるからには徹底的にコーディネーターとなり、下図をいくつも作って検討を重ねることです。
掲載日時 2010 年 01 月 22 日 - PM 02 : 58
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