4-21 扇面考 継ぎ紙 - エッセイ論文

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4-21 扇面考 継ぎ紙

 前回に掲げた扇面作品に戻りましょう。
 これは「継ぎ紙」を用いています。ここでは料紙との関係を考えることにします。null「継ぎ紙」は石山切(いしやまぎれ 西本願寺本三十六人集・伊勢集)などを嚆矢とする平安末期に考案された料紙の傑作です。当時の貴重な唐紙をはじめとして、陸奥紙、染紙などの高級紙を惜しげもなく「ちぎって」つなぐという破天荒な手法を思いついた王朝時代の職人にただただ脱帽するばかりです。これは書人に対する挑戦です。「これでもか、さあ書いてみい」というわけですね。これを真っ向から受けて立った書人も大したものです。

 このスタイルは「やぶる」もしくは「ちぎる」ことによる偶然の破線を活用した日本独自のセンスにもとづいており、ちょっと世界にも類例がないのではないでしょうか。

 さてこの扇面となれば、外形もさることながら扇面内部の不定形の色面が加わって、二重に書き手を幻惑することになります。波形の線が紙面に流れ、安定した紙面構成を妨げます。これに対抗しうる確かな腕前がまず試されるわけです。中心線のあやふやな字はまず勝てません。要(かなめ)に向かう線、あるいは垂直な線をしっかり書けなくてはなりません。

 例示した作品は岡村友子の「星まよふほどを待つとて」という源氏物語の一節です。白く明るい部分を主体にし、右下の青い部分には字をわずかに入れ、左の赤い部分には境目に筆を入れかけて入らないようにあんばいしています。これは作品紹介のなかですでに紹介していますのでご参照ください。

掲載日時 2010 年 01 月 16 日 - PM 04 : 29

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