4-19 扇面考 和様 - エッセイ論文

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4-19 扇面考 和様

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 これは岡村天溪の成扇(能の舞扇)です。日本人の発想には「べったりと埋め尽くす」固定観念はありませんから、バラし方も自在です。これは「嘉辰令月(かしんれいげつ)歓未央(かんみおう)」と読みます。(よい日、よい月 歓び未だつきず、という意味) 横に二行という書き方です。中国人には突拍子もない割り振りですが、このような自在さが実は日本的な感性と言えるのではないかと思います。

 舞扇は能装束のように豪華で、その地模様を活かしながら字(隷書)との調和をはかっています。中国の文化を日本の感性に適合するように置き換えることを「和様」といいますが、これなどはいかにも日本の扇です。

 「為書き」(ためがき)によると平成元年(1989 己巳)にかわいい孫娘の雛の節句に書いたとあります。「天溪老父台」とある「台」は「わたし」という意味。「老台」とも書きます。「年寄りであるわたし」の意。自分につけると謙譲、相手につけると尊敬になり「貴台」などとも使われます。ちなみに、この語句は『和漢朗詠集』の「嘉辰令月歓無極 千秋萬歳楽未央」のアタマとシッポをつないだもので、天溪得意の遊び心です。

掲載日時 2010 年 01 月 14 日 - PM 08 : 41

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