53 あきっぽい
誰でも同じことを繰り返していると飽きてしまいます。お習字は紙の上で筆を動かすという、いわば同じことの繰り返しですから、自分はあきっぽいので、書道には不向きだ、とアタマから決めてかかっている人もあります。
同じことに飽きるのは変化が見えないからです。一日中、ドラ焼きをひっくり返しているとしましょう。下手なうちはまだ変化があります。ひっくり返しそこねるので同じにならないからです。しかし慣れてくると同じように手が動くようになります。店先で実演販売している人の手つきは流れるようで見事です。しかしそれは私のような素人が見るからで、そこにも微細な変化があるのです。職人はその微細な手加減を始終微調整しているので、同じではないのです。
レベルが高くなれば微調整の度合いもケタ外れに高まります。その日の気温によっても変わる、というのは恐らく本当でしょう。自分の体調も、外部の風も変化のかたまりです。飽きている暇などありません。調整せねばならないことは無限に襲ってくるはずです。
同じことを繰り返していると飽きますが、「同じこと」でなければよいのです。あきっぽい人は変化が見えない人なので、注意深く違いを発見できれば飽きないですみます。ヨコ棒一本の違いを先生は教える必要があります。早く違いのわかる人にしてあげなければなりません。
そう言えば「違いのわかる」というコマーシャルが昔ありましたね。インスタントコーヒーの違いなどわからなくても恥ではないし、ひとの作ったものの違いより自分の作るものの違いがわからなければ、面白くもありません。同じ自分が書いたのに、違って、違って、なかなか同じにならない、というものこそ飽きないコツです。お習字はその最たるものです。
掲載日時 2009 年 12 月 20 日 - PM 03 : 34
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